ぶら野球BACK NUMBER
糸井重里がノーバン始球式!!
松本・前橋と続く、巨人戦ながれ旅。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byYasutaka Nakamizo
posted2017/09/19 11:00
ちょっと……遠目で見えにくいですが、糸井さんがノーバンなんです!!
途中で帰ってサヨナラシーンを見逃すミスを!
試合は2回に中日が先制するも、5回には巨人がマギーの2ランアーチで勝ち越し。しかし7回にリリーフの西村健太朗が一挙5点を取られ逆転を許し終盤へ。3点リードされて迎えた9回裏、長野久義のタイムリーで2点差に迫り、土壇場で宇佐見真吾の起死回生の2ランアーチで8-8の同点に追いついた。そして、延長11回裏に寺内崇幸のサヨナラ3ランで劇的な幕切れだ。松本市市制施行110周年記念試合としては満点の展開である。
……って、すいません。実はこの寺内の本塁打が出た瞬間、すでに俺は帰りのバスの中だった。
7回あたりからパラついていた雨が強まり、通路から様子をみたりしていたが、連載中の野球小説『絶体絶命』の大きな修正がメールで来ていたので、一足先にホテルへ戻ることにしたのである。野球ファンにあるまじき、途中で帰ってサヨナラシーンを見逃す最悪のミステイク……。
まるでパブリックビューイング状態のバス車内。
だが、満員のバス車内では自分を含めスマホやタブレットで数人が映像を追っていて、1球ごとに車内がざわつき、「さあ宇佐見!」「よし寺内っ!」なんつってまるでパブリックビューイングのような盛り上がりだった。
球場で最後まで目撃したファンも、途中で席を立ちバスの中で映像を見たファンも一生忘れない試合だろう。
スタンドでは26年前に父親に連れてこられた男性が、大人になり地元で家族を持ち自分の子どもを連れてきて、当時の丸みのある応援メガホンを振っている光景も見かけた。時を越え、世代から世代へ継承されるプロ野球。26年後、2043年は巨人の監督は坂本勇人か、それとも菅野智之だろうか……。