炎の一筆入魂BACK NUMBER
優しい人間は生き残れない世界で。
広島・大瀬良大地が求める強さの形。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKyodo News
posted2017/07/24 17:00
無事勝てた……お互いに激投の労をねぎらった大瀬良と中崎。この信頼関係が鉄壁の継投を生み出している。
大瀬良のひと言は、皆に大きな力と勇気を与えている。
7月18日、甲子園。バトンを受けた中崎は「イニングの途中からマウンドに上がることはどうも思わない」と中継ぎとしてのプライドをのぞかせながらも「逆にイニング途中に降りるときは申し訳ないと僕も思う。(大瀬良が声をかけるように)そういうことを言ってくれると、こっちも抑えてやろうという気持ちになる」と続けた。
大瀬良の優しさは、誰かの力になっている。
新人床田も復帰へ前を向いて歩き出し、大瀬良の姿を見て勇気をもらったファンも少なくない。
その優しさは、何より大瀬良自身を強くしているのだ。
優しさと厳しさは相反するものかもしれないが、優しさと強さは同居できる。本物の強さは、優しさの中にこそあるのだ。