プロ野球亭日乗BACK NUMBER
18連敗ロッテ監督の言葉をきけ!
巨人軍、戦犯さがしはまだ早い。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/06/09 13:40
打つ手がことごとく悪い方へ転がっていってしまう巨人。「流れ」というものの恐ろしさを感じる瞬間である。
出口は分からないが、光がないわけでもない。
スタンドには奮起を促す横断幕が掲げられ、名門球団らしくOBからは様々な苦言、提言が連日メディアをにぎわせている。
連敗を抜け出すのは今日か、明日か、それともまだまだこの地獄が続くのか……。はっきり言って出口は分からない。
ただ光がないわけではない。
開幕からふくらはぎなど下半身の故障で戦線離脱していた陽岱鋼外野手が、ようやく戦線に加わった。
7日の西武戦では「1番・中堅」で先発して2安打。そして8日の試合でも安打を放ち、中前のライナーをダイビングキャッチする美技も見せた。
40億円補強の成否は、まだ分からない。
連敗中に盛んに言われているのが、昨オフの大型補強の是非だった。総額40億円とも言われる補強をしながら、フリーエージェントで獲得した陽岱鋼と山口俊投手がケガで出遅れ、森福允彦投手も不調でファーム落ちするなど、戦力として機能しなかった。そのため補強の失敗を指摘する声があるのは事実だ。
ただ陽や山口が試合に出て結果を残せていないならまだしも、ケガは獲得する時点では予想はできず、不可抗力の部分も大きい。
一方でマギーは開幕からしっかりと結果を出し、開幕当初は左右の別なく起用して失敗した森福も、今は対左打者用の中継ぎとして使えることが分かった。
そしてケガが癒え、グラウンドに戻ってきた陽はしっかりと働いている。特にあの守備力は、これからの巨人に大きな戦力となるはずだ。6日のイースタン、西武戦で最終テストを終えた山口も、早ければ14日のソフトバンク戦で先発復帰の見通しでもある。
そういう意味では、補強は失敗だったと結論付けるのはまだまだ早い。
山口が先発で使えれば、ファームで調整中の内海哲也、大竹寛両ベテラン投手らを手薄な中継ぎに回すという起用もできる。特に大竹は昨年のクライマックスシリーズで中継ぎ起用された際には、シュートを多投してDeNA打線を翻弄した。シュートで右打者の内角をえぐり、試合のリズムを変えるロングリリーフができる可能性もあるだろう。