沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
初参戦から28年目のダービー制覇。
藤沢和雄調教師「思った以上に……」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2017/05/29 11:30
かつて、調教師リーディングのトップは藤沢和雄の指定席だった。昨年も勝利数は矢作芳人調教師についで2位、その力に衰えはない。
ダービーの勝ちタイムはオークスよりかなり遅いが……。
しかし、その前に、競走馬として、さらなる大仕事をやってもらいたい。
ダービーの2分26秒9という勝ちタイムは、前週のオークスより2秒8、同じ日の第8レース、古馬1000万下の青嵐賞より3秒1も遅かった。それでも3歳牡馬のレベルが低いという声があまり聞かれないのは、ひとつには「藤沢厩舎のダービー馬が弱いわけがない」とみなが思っているからだろう。
もちろん、この馬の血統背景も、強さの「本物感」を支える力になっている。また、ダービーの上位に人気どころが来たことに加え、距離もペースも異なり、別種のレースだった皐月賞の上位馬がそこそこ健闘したことも、この世代の牡馬が、どんな条件でも力を出せる能力を持っていることを証明したと言えよう。
共同会見で、「同厩舎のオークス馬ソウルスターリングとどちらが強いと思うか」という素人質問を藤沢調教師にぶつける勇気は筆者にはなかったが、いつ両馬の直接対決が見られるかを含めて、今後に注目したい。