“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
“久保建英と交代する男”からエースへ!
イタリア戦、岩崎悠人が爆発する根拠。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byKenzaburo Matsuoka
posted2017/05/26 17:00
小川が負傷後のピッチ上では、いつにも増して死に物狂いでゴールを狙う岩崎の姿が見られたのだが……。
「僕から『役割をはっきりさせよう』と言いました」
だが前半は、急遽ピッチに投入されることとなった久保との連係が、とにかく噛み合わなかった。
「もう少し近い距離でプレーをしないといけないのに、お互いが自由に動いてしまっていた。もう少しふたりが違う動きをして、しかもそれを連動させないといけなかった。なので試合中、僕から久保君に『役割をはっきりさせよう』と言いました。僕が背後に抜けて、久保君がスペースで受けることを確認したんです」
後半に入ると、徐々に2人の連係がスムーズになっていく。
岩崎がサイドに流れることが無くなり、DFラインの裏のスペースへ向けて何度もスプリントしてラインを下げさせるようになった。
空いたスペースに久保と堂安が次々と侵入し、そこでゴールまでのアイデアを出していく――。攻撃の歯車が噛み合い出したことで、日本にもチャンスが訪れるようになり始めていた。
55分には、MF市丸瑞希がインターセプトからそのまま持ち込んでループシュート。GKが弾いたこぼれ球を久保がヘッドで押し込むが、これは惜しくもバーの上。
58分には、久保がドリブルで2人かわしてシュート。GKがセーブしたこぼれ球を、今度は堂安が頭で押し込むが、これはカバーに入ったDFにギリギリでかき出されてしまった。
67分には市丸のパスを受けた久保が、CBとサイドバックのギャップに飛び込んだ岩崎へ絶妙なスルーパス。岩崎は正確なファーストタッチで前に持ち出して、強烈なシュート。これも惜しくもGKに阻まれるが、決定的なチャンスを立て続けに作り出していたのだ。
短期間で久保とのコンビは仕上げられるか?
だが、結果として試合は完敗だった。
チャンスを作ることはできたが、結局は1点も奪えず、逆に後半アディショナルタイムに追加点を奪われるという、ウルグアイの底力を見せつけられての完敗となった。
しかも、負傷した小川はもう今大会出場することができない。
この逆境からチームが前に進むためには、岩崎と久保の急造コンビがどこまで円滑に連係できるかが大きな鍵となってくるのは間違いないのだ。