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人気に続き実力もBリーグ最高峰へ。
千葉ジェッツ、激戦区での大躍進。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/04/21 08:00
もちろん富樫や外国籍選手の存在感は絶大だ。しかし千葉ジェッツは終盤戦に総合力でも勝負できる集団に変貌しつつある。
最年長の37歳、伊藤もセンターでいぶし銀の役割。
西村だけでない。チーム最年長の37歳、204cmのセンター伊藤俊亮の活躍もそうだ。16日のA東京戦では地味ながら献身的かつ重要なプレーをいつも通りに見せた。ファールを受けながらシュートを決めてバスケットカウントを奪い、フィールドゴールの成功率も100%。スタメンの選手が一度ベンチに温存されたタイミングでの彼の活躍は大きかった。6点差で勝利した接戦において、重要な意味を持つ8点をたたき出したのだから。
だが1週間前の試合では、普段であれば伊藤に出番が回ってきそうなところ、同ポジションの荒尾岳が起用されることもあった。しかし荒尾の証言によると、伊藤は試合中にベンチで気づいたことを細かく伝えていた。
伊藤は、自身の立ち位置についてこう説明する。
「個人的には、この時期に自分のプレータイムどうこうという話をするべきではないと思います。もしかしたら、若い選手はプレータイムを得られないことでフラストレーションがたまりかねないこともあると思うのですが、そういった気持ちが生まれるのを抑える面でも、自分が少し犠牲になることで、チームの良い雰囲気を出していければなと思っています」
CS開幕の約1カ月前の時点で、日本バスケ界屈指の強豪であるA東京相手に、ベンチの選手たちを含めた一体感の中で連勝した事実は小さくはない。
だからこそ、キャプテンを務める小野龍猛の言葉は説得力を帯びる。
「彼らの活躍は、努力のおかげですよ。試合に出られなくても、決して腐らずに練習中からしっかりとやっているので」
優勝を決めた他地区はCSへ余裕の調整ができるが……。
とはいえ、栃木にA東京、ジェッツと三つ巴の様相を呈している東地区は、終盤戦にかけてデメリットが大きいように思える。
他地区でリーグ優勝を決めているチームは、負傷、もしくは疲労している選手をある程度は休ませつつCSに向けて調整できる。一方で3チームは地区優勝、それを逃したとしてもCS出場時に本拠地でアドバンテージを得られるように、最後までフルスロットルで闘わなければならない。
だが、ジェッツに携わる人間で、不利だと考えている者は全くいない。
小野はこう語る。
「CSに向けて、完成度を高くすることが今のチームの課題だと思っているので。CSはリーグ戦が終わってからのこと。だからこそ、リーグ最終節までしっかりと戦って、完成度を高く出来ればと僕は思っています」