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人気に続き実力もBリーグ最高峰へ。
千葉ジェッツ、激戦区での大躍進。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/04/21 08:00
もちろん富樫や外国籍選手の存在感は絶大だ。しかし千葉ジェッツは終盤戦に総合力でも勝負できる集団に変貌しつつある。
“控えの控え”がエース富樫の代役を果たした。
15日の試合では、残り3分49秒に11点差をつけられたタイミングで富樫は左太ももの打撲により、負傷交代を余儀なくされた。翌日の試合でも開始から4分も経たないうちに2つ目のファールをとられ、序盤でのファールトラブルを避けるためベンチに下がらざるを得なかった。
この状況で活躍を見せたのが西村文男だった。西村は10月に左手の左母指基節骨骨折という大ケガもあり、今季のポイントガード争いで3番手に甘んじていた。そんな彼がルーズボールに頭から飛び込み、スティールやシュートブロックを見せた。どちらの試合でも、大事な局面で3Pを決めている。
大野HCは西村について、こう話していた。
「最近は練習中にも本当にエナジーを出してくれていますし、ディフェンスをやろうという意識がかなり高かった。(ここまで2番手のPGとして起用してきた)阿部(友和)よりも西村を先にチョイスしたということです」
指揮官は「ジェッツ・スタンダード」という指針を掲げ、チームの基本としてアグレッシブな守備、そこにエナジーを体現することを求めた。とりわけ、PGには攻守でチームを牽引するために、最も気迫に満ちたプレーを見せ、チームメイトに闘志を伝えることを強調し続けた。
日本代表、新人王経験のある西村が見せた意地。
30歳になる西村には日本代表歴があり、かつてJBLで新人王も取った実績がある。しかし10月のケガで、プロになってから初の長期離脱を余儀なくされた。
「ケガもあって身体や(骨折した)指が思うように動かないとか、そういう部分でメンタル的にやられているところが大きかったんです。骨は治っているんですけど、可動域など、まだ完璧に戻りきっているわけではない部分もあって……」
ただCSを前に、彼はこう付け加えるのも忘れなかった。
「まだまだこれから、自分はパフォーマンスをあげていけるとは思っているので」
西村の復調は、シーズン最終盤に与えられた大型補強のようなものである。