甲子園の風BACK NUMBER
新風が巻き起こったセンバツ応援。
甲子園に響いた「アゲアゲホイホイ」。
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byYukiko Umetsu
posted2017/04/05 11:10
もはや高校生自身は知らない時代の楽曲『ドリフの早口ことば』『キン肉マン』『プロジェクトA』が鳴り響いた創志学園のスタンド。写真中央、サングラスをかけている男性が環太平洋大学マーチング部・中家監督である。
入場曲は応援曲として、あまり取り上げられない!?
今大会では、この『恋』を応援に取り入れた学校が実に8校もあった!
これだけの学校が、入場曲に選ばれた曲を応援に一斉に取り上げることは非常に珍しいこと。大阪桐蔭や不来方は替え歌で、滋賀学園は野球部の恋ダンスで応援するなど、まさに『恋』旋風が吹き荒れたといってもいいだろう。
過去のセンバツ入場行進曲リストを見返してみても、応援曲として定着しているのは光GENJIの『パラダイス銀河』(1989年)くらいで、昨年の『もしも運命の人がいるのなら』(西野カナ)や、2015年の『Let It Go~ありのままで~』(ディズニー映画劇中歌)を使用した学校は、今大会で1校もない。覚えやすく、明るくポジティブな曲調の『恋』が、いかに応援向きかということがおわかりいただけるのではないだろうか。
絶大なインパクトを残した『全開Honda』とは?
高校野球応援では、プロ野球の応援曲も人気が高い。
特に、千葉ロッテマリーンズの『モンキーターン』が圧倒的で、次いで阪神タイガースの『チャンス襲来』や、東京ヤクルトスワローズ山田哲人の応援曲などを耳にする。そんななか、今大会で絶大なインパクトを残したのが、ベスト8まで勝ち進んだ健大高崎が使った『全開Honda』と『ノンストップHonda』だ。
社会人野球Honda鈴鹿硬式野球部の応援曲で、チャンステーマで繰り返し流れた軽快なメロディが耳に焼き付いているという人も多いのではないだろうか。
健大高崎の野球部員がYouTubeで見たこの曲を気に入り、同校野球部OB、柘植世那選手も所属するHonda鈴鹿野球部応援団より楽譜を譲り受けた。
『ノンストップHonda』を手がけた元応援団長の長谷川道治氏は、「自分が作った曲が甲子園という舞台で使われ、テレビから流れてくるというのはこの上なく気持ちよく、とてもうれしいもの。これを機に、社会人野球の魅力が広まるといいなと思います」と話す。