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選手権Vの高橋壱晟、千葉で即先発!
阿部勇樹以来の快挙も悔しがる18歳。
posted2017/03/04 11:30
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
1月に開催された第95回全国高校サッカー選手権大会を制し、高円宮杯チャンピオンシップに引き続き、昨シーズンの2冠を達成した青森山田。伝統の背番号10を背負い、2冠の立役者となった高橋壱晟は、「青森山田フィーバー」の熱狂が冷め切らぬ中、新たなステージで大きな一歩を踏み出していた。
2017年J2リーグの2月26日の開幕戦・町田ゼルビアvs.ジェフユナイテッド千葉の一戦。千葉に入団した高橋は、ルーキーながら開幕スタメンを飾った。
千葉の高卒ルーキーの開幕スタメンは、2000年の阿部勇樹(現・浦和)以来、17年ぶり7人目。歓喜の高校選手権決勝から僅か1カ月半。いきなりの大役を彼は堂々とこなした。
「選手権優勝は素直に嬉しいけど、ここで切り替えてやり直すことが大事。開幕からスタメンで出られるようにやっていきたい」
入団直後、こう決意を語っていたように、開幕戦出場は彼の現実的な目標であった。その言葉通り、優勝の余韻に浸ることも無く、キャンプで猛アピールし、開幕1週間前にはスタメン組でプレーするようになり、見事、有言実行を果たした。
ルーキーらしい場面と、らしからぬ場面と。
3-5-2システムを敷く千葉において、高橋は中盤の2シャドーの一角に位置した。
前半こそ戸惑いが目立ち、思うようなプレーが出来ないでいたが、後半に入ると落ち着きを取り戻していた。47分にはCKからのこぼれ球に反応し、プロ初シュートを放っている。これは相手GKの好守に阻まれたが、ボールを呼び込めるようになり、持ち前のキープ力とパスセンスを披露することはできた。試合中に足を攣るなど、ルーキーということもあり体力が追いついていないシーンも見られたが、堂々とフルタイムをプレーし、1-0の勝利にしっかりと貢献した。
ルーキーで開幕スタメンフル出場。
今年の選手権で主役になった高橋が、J2でいきなり見せた活躍は、大きな話題になった。
3月1日の青森山田高校の卒業式。千葉から一度チームを離れ、青森に戻り、式に出席した彼の注目度はやはり高かった。しかし、彼に浮かれる様子は一切無かった。