司令塔ピアニッチをボランチに置く攻撃的布陣。

　まずは万能エースのイグアインを1トップに配置する。

　2列目の左右にマンジュキッチとクアドラドを展開させ、トップ下にはディバラを入れる。

　そして司令塔ピアニッチはダブルボランチの一角に置く。

“チンクエ・ステッレ”型ユーベ初お目見えとなったラツィオ戦で、先発メンバーが発表されたとき、ユベントス・スタジアムは驚嘆のどよめきと興奮の歓声に包まれた。

　試合はディバラとイグアインの2ゴールで快勝。内容でも圧倒した試合を見届けた指揮官は「今日の試合は今シーズンの分水嶺になる」と断言すると、その後も“チンクエ・ステッレ”で臨んだ。

　3日後のコッパイタリア準々決勝でミランを下してドーハでのリベンジを果たし、アウェーの鬼門に挑んだ第22節サッスオーロ戦でも2-0で完勝を収めた。

“ポピュリズム”なサッカーでは毛頭ない！

　現地メディアがつけた“チンクエ・ステッレ”の呼び名は、近年イタリア政界での躍進著しいポピュリズム政党「Movimento 5 Stelle」から来ている。

　ユベントスのお膝元トリノでも、昨夏の首長選挙で同党所属のキアラ・アッペンディーノ女史が32歳の若さで初当選し、話題となった。

　ただし、監督アッレグリの頭の中に大衆受けするサッカーを目指す考えは毛頭ないだろう。優男に見えて、アッレグリは実は相当な勝負師なのだ。

　相手守備陣にとってみれば“チンクエ・ステッレ”は頭を抱えるしかない。最前線のイグアインから目を離すわけにはいかないが、かといってディバラも絶対フリーにはできない。そしてサイドでボールを収めるマンジュキッチの脅威は、高さではなくアシストする働きだ。そして逆サイドに配されたクアドラドのドリブルは1対1では止めようがなく、数的不利を作られる。

　またピアニッチの傍らにガード役のMFケディラを置いたことで、司令塔の攻撃的なパスワークは安定。仮に直接FKを与えればミラン戦のように狙いを定めてくる。

【次ページ】　イグアインはマンジュキッチの献身ぶりを大絶賛。