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“五つ星の攻撃陣”はCL優勝仕様。
守備の権化・ユーベが選んだ道。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2017/02/09 07:00
5人のスターを並べる超攻撃型布陣に舵を切ったユーベ。デル ピエロ、コンテらを擁した1995-96シーズン以来のビッグイヤーを狙う。
ピルロ、ポグバらを擁した2年前はバルサに敗れた。
試合を決めたのはクアドラドが放った弾丸ゴールだが、イエロー8枚とレッド1枚が飛び交ったタフな試合の終盤で、アッレグリはこの試合をCLの前哨戦としてシミュレートしているのではないか、と思わされた場面があった。
84分にディバラに変えて、DFのルガーニを入れた。3人目のセンターバックを入れ、1点のリードを守る徹底した意識を植えつけながらもラインは高く維持させ、攻撃への意欲は失わせなかった。インテルを仮想ポルトに見立てて封じきる。アッレグリとユベントスのCLへの執着を見た。
“チンクエ・ステッレ”型ユベントスは、CL決勝に進出した2年前のチームとは別物だ。
当時の2トップにはテベスとモラタがいて、司令塔ピルロとMFポグバ、MFビダルの中盤にユベンティーノたちは夢を見た。彼らは泥臭く戦い、そしてベルリンの決勝戦でバルサ相手に砕け散った。
そして今季、対CL用決戦兵器ともいえる新戦術に馴染ませつつある。
「11人で攻めて11人で守る。ユーベの魂はそこにある」
DFボヌッチは言葉を強める。
「布陣もプレーする者の名前も大事じゃない。“どうプレーするか”の方がもっと大事だ。11人で攻めて、11人で守る。ユーベの魂はそこにあるんだ」
守備の国の権化であるユベントスが、4-2-3-1を用いるなど誰が想像しただろう。
ポルトとのCLベスト16ラウンド初戦が22日に迫る中、アッレグリは選手たちに向けてすでに言い含めてある。
「攻撃的戦術はテクニック的に実現できるからこそ意味がある。私はおまえたちができると信じているからこそ、やると決めたんだ。今年は(CLの)最後までいくぞ」
目撃せよ。超攻撃型へ生まれ変わったユーベを。