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ダートの新王者はサウンドトゥルー!
追い込み一辺倒が「必殺の形」。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2016/12/05 11:50
「ずっと乗せてもらっている馬で勝ててよかったです」と勝利インタビューでコメントした大野。
前走までブロンズコレクターだと思わせながら……。
勝利騎手インタビューで開口一番「ハマりましたね」と言ったように、速い流れを味方につけて、見事、栄冠を手中にした。
サウンドトゥルーは、レース前から高木調教師が「中央のこのメンバーだとどうしても置かれてしまう。なるべく速い流れになって引っ張ってもらいたい」と話していたように、後ろから行く「自分の競馬」に徹するしかない馬だ。
その馬の背で腹をくくって内ぴったりを回ってきて、直線で手前を替えるまで追い出しを待ち、「残り100mで前の馬の脚色が鈍っていたので勝てると思った」と振り返る大野の好騎乗が光った。
前走まで、帝王賞、日本テレビ盃、JBCクラシックと3戦連続3着のブロンズコレクターかと思わせておきながら、並ぶ間もなく前を抜き去る鋭さを見せた。それも大野が引き出したと言っても褒めすぎではないだろう。
今年30歳になった大野にとって、これが同じ高木厩舎のスノードラゴンによる2014年スプリンターズステークス以来となるGI通算2勝目。地方を合わせて今年の50勝目となり、'12年の49勝を上回るデビュー以来最多となった。
関東馬による勝利は14年ぶり2頭目という快挙。
サウンドトゥルーにとって、JRAのレースは昨年のチャンピオンズカップ以来だった。
昨年は、日本テレビ盃1着、チャンピオンズカップ3着、そして年末の東京大賞典で1着となり、年明けの川崎記念で2着になっている。もともと、いつ中央のGIを勝っても不思議ではない実力と実績があったのだ。
関東馬による勝利は、前身のジャパンカップダート時代の'02年イーグルカフェ以来14年ぶり2頭目だ。
ダートでは珍しい、追い込み一辺倒のスターが誕生したことで、対照的な脚質のアウォーディーやコパノリッキー、ゴールドドリームらとの対決が、より楽しみになった。