Jをめぐる冒険BACK NUMBER
大久保、憲剛の「代役」ではなく――。
川崎・小林悠、三好が見せた自分の色。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFLO
posted2016/09/28 11:00
小林はこの日の決勝弾で大久保と並ぶ今季リーグ戦15得点目をマーク。得点ランク1位のピーター・ウタカとは3点差と得点王も射程圏内だ。
大久保、憲剛のようにはできなくとも、自分の色を。
まさに横浜戦での小林や三好は、「1トップ・大久保嘉人」や「トップ下・中村憲剛」の代役などではなかった。
「嘉人さんのようにはできないので」と小林は振り返ったが、逆に言えば、小林にしかできないことがある。最後まで集中を切らさずDFと駆け引きし続け、裏を狙い続けたのは、小林なりの1トップ像だったし、柔らかいトラップによって常に前を向いて仕掛けていく姿は、三好ならではのトップ下像だった。
ここ5試合で2勝3敗と、勢いを失いつつある状況で迎えた神奈川ダービー。エースストライカーとボランチを出場停止で、正GKのチョン・ソンリョンを負傷で欠き、試合中に新井まで失ったうえに、ロスタイムで追いつかれる大失態を跳ね除けてつかんだ勝点3。この勝利で川崎は年間3位以内が確定し、年末のチャンピオンシップへの出場が決まった。
だが、川崎がこの試合で得たものは、チャンピオンシップの出場権よりも、はるかに大きいものだったはずだ。