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J1“裏天王山”制した福岡・井原監督。
「トップ下・三門」は残留への切り札。

posted2016/09/22 08:00

 
J1“裏天王山”制した福岡・井原監督。「トップ下・三門」は残留への切り札。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

監督としてはJ1初挑戦となった井原監督。自らを支える福岡サポーターのためにも残留を信じ続けて戦う。

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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 喉から手が出るほど欲しい先制点――。ところが、開始早々の得点が、ときに足かせになることがある。

 虎の子の1点を守りたいという意識が強く働いて、その後のプレーが消極的になることがあるからだ。それが、5連敗中の最下位チームであれば、なおさらだろう。

 だが、アビスパ福岡は最後までアグレッシブな姿勢が崩れなかった。

 J1セカンドステージ第12節。年間順位17位の湘南ベルマーレとの“裏天王山”で敵地へ乗り込んだ福岡は、3分に金森健志がPKを決めて先制点を手に入れた。

 それがプレッシャーにならなかったのは、すぐに追加点を奪えたからだろう。15分に平井将生がミドルシュートを突き刺し、差を2点に広げた福岡は、その後も、相手のお株を奪うようなプレッシングで湘南を慌てさせていく。

 たしかに湘南のシュートミスに救われたシーンが何度かあったが、切り替えやセカンドボールへの反応では福岡が上回る場面が多く、2-0と会心の勝利を飾った。

三門は精力的な運動量で、先制点のPKを誘発した。

 試合後の記者会見で「1週間どんなことを伝えてきたか」と訊ねられた井原正巳監督は、「本当に泥臭く、最後まで走りきるとか、ゴール前に入るとか、体を張って守るとか、90分間勝利のために悔いのない戦いをしようと話していた」と答えたが、この日の戦いぶりが、まさにそのコメントに凝縮されていた。

 敵に囲まれながら右足を振り抜いた平井のシュートは鮮やかだった。金森のドリブル突破は常に驚異的だった。亀川諒史の左サイドからの攻め上がりも光った。

 だが、この日の福岡のアグレッシブさを起動させるスイッチになったのは、この夏に横浜F・マリノスから完全移籍で福岡にやってきた三門雄大だろう。

 本職のボランチではなく、4-2-3-1のトップ下に入った29歳のMFは、開始早々に右サイドからのクロスで湘南のハンドを誘ってPKを獲得。その後も前線に飛び出したり、ボールを追いかけ回したりしてハードワークを切らさない。センターバックの實藤友紀が退場となった試合終盤には、ボランチに入って完封勝利に貢献した。

【次ページ】 「チームのためにトップ下をやってほしい」

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