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リオ五輪、陸上界の勝負所はGW!
気になるアノ選手は代表になれるのか?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2016/05/06 16:30
「世界と戦うために10秒台を出す」と宣言している福島。自身の日本記録でさえ、彼女にとっては通り道にすぎないのか……。
サニブラウンを破って完全復活をアピールした飯塚。
ロンドン五輪では準決勝進出を果たした山縣は、昨年、腰痛に苦しみ、世界選手権代表になれなかった。今シーズンを占う位置づけの織田記念では、向かい風2.5mという悪条件のもと、10秒27をマーク。無風であれば参加標準記録をクリアし自己ベストも狙えた可能性がある好タイムで、復調を印象付けた。
200mでは、静岡国際(5月3日)で飯塚翔太が優勝した。
飯塚もロンドン五輪代表だが、山縣同様、昨年は故障で不本意な年となった。トレーニング方法やフォームの微調整などに取り組んでの今シーズンの初戦、まずはその成果を示した。
200mは最大で五輪代表は3枠だが、藤光謙司と高瀬慧がすでに派遣設定記録を突破している。静岡国際で飯塚に次ぐ2位のサニブラウン・アブデルハキームもいる。激しい代表争いが繰り広げられるだろう。
ベテラン、若手も元気な中、福島千里が気になる。
織田記念では、棒高跳びで澤野大地が優勝したのも印象深かった。
昨年はアキレス腱断裂などでシーズンを棒に振ったが、1年ぶりの実戦で5m60、派遣設定記録の5m70に迫り、すでに突破している山本聖途と荻田大樹を破っての勝利だ。アテネ、北京と2度オリンピックに出場している35歳のベテランは、8年ぶり、3度目の出場へ向けて、しっかりと照準を合わせてきた。
第一人者たちが好調な出だしを見せる一方で、織田記念の三段跳びでは26歳の長谷川大悟が16m88の日本歴代4位で優勝し、参加標準記録を突破した。初めてのオリンピック出場へ一歩近づいた形だ。決まれば、三段跳びではアテネ五輪以来となる。
楽しみな選手たちが目立った一方で、やや不安を残したのは福島千里。
織田記念は100mに出場したが、予選を走っている最中、右ふくらはぎにけいれんを起こし、決勝を棄権。静岡国際でも、女子400mリレーを左太もも裏の張りで棄権し、200mも欠場となった。
2012年からの3シーズン苦しんできた福島は、昨年、アジア選手権や世界選手権などで好走を見せるなど、ようやく光を見出した。それを大きな目標に据えてきたオリンピックにつなげていきたいところだったが……。