“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高円宮杯プレミアリーグで目撃せよ!!
十代のゴールキーパー達の青春。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2016/04/13 10:40
年代別代表にも選出されている青森山田・廣末陸。全国選手権はベスト4だったが、どんな活躍を見せてくれるだろうか。
再びしのぎを削ることになった廣末と波多野。
廣末が躍動した前日、清水エスパルスユースと対戦したFC東京U-18のゴールマウスには、196cmとなった波多野が立っていた。試合は0-1で敗れてしまったが、昨年トップ帯同をするなど、着実に経験を積んでいる波多野は、安定したハイボールの処理やセービングで、能力の高さを示した。
着実に成長を遂げている波多野に対し、廣末は「やっぱり意識する存在です。昨年のプレミアでは高校になって初めて対戦をして、勝利することができた。今年も対戦したら絶対に勝ちたいし、合宿でも一緒になるので、本当に楽しみです」と語った。4月11日から大阪でU-19合宿が行われるが、そこに波多野も選出され、再びライバルとしてしのぎを削ることになった。
波多野にとっても、廣末が選出され続けていたU-19日本代表に入ることは目標の一つだった。先を越されたライバルの存在で闘争心に火を点けられて、努力し続けてきたからこそ、掴んだチャンスでもあった。
成長の源となったライバルの存在。これは廣末と波多野だけのことではなかった。プレミアイーストには同じチームでしのぎを削る守護神たちがいた。
最高のパートナーで、ライバル。
横浜F・マリノスユースの原田岳と千田奎斗。2人とも年代別代表経験者であり、同級生。この2人が織りなすポジション争いは、「ユース年代ナンバーワンの熾烈なポジション争い」だ。世代屈指のGKが2人、同い年で1つしかないGKのポジションを競う。ハイボールの処理とシュートストップが上手い原田に対し、キャッチングと足下の技術、キックの精度が高い千田。この2人、バチバチのライバル関係かと思いきや、お互いを認め合い、理解し合う最高のパートナーでもあった。
「僕にとって岳は重要な存在なんです。岳がいることで、『負けねえぞ!』と常に自分の闘争心に火を点けてくれるんです」(千田)
開幕戦の柏レイソルU-18戦でゴールマウスに立ったのは、原田の方だった。千田はベンチで戦況を見つめ、1-1のドロー決着に終った原田に試合後話しかけていた。開幕戦だけでなく、横浜F・マリノスユースに行くと、いつも試合後に2人で仲良く語り合う姿がそこにはある。
「普段から2人でよく話すんです。岳が試合に出ているときは、僕がアドバイスをしたり、逆に僕が出ているときは岳がアドバイスしてくれる。思ったことを伝え合える仲です」
会場から引き上げる千田は、笑顔でこう話してくれた。