“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高円宮杯プレミアリーグで目撃せよ!!
十代のゴールキーパー達の青春。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2016/04/13 10:40
年代別代表にも選出されている青森山田・廣末陸。全国選手権はベスト4だったが、どんな活躍を見せてくれるだろうか。
「別々のチームだったら」と思ったことは?
筆者も彼らが高校1年のときから2人のハイレベルな競争を見てきただけに、2人の絆の深さはよく知っている。だが、ここで敢えて意地悪な質問を千田にぶつけてみた。
「正直、『別々のチームだったら良かったのにな……』と思わなかった?」
この質問に対し、千田は変わらぬ笑顔でこう返してきた。
「それは一度も思ったことがありません。僕の中では岳が僕らの世代でナンバーワンのGKだと思っています。当然、試合に出られないときは悔しいけど、こんな強烈なライバルが相手チームではなく、自分のチームにいて、毎日一緒に過ごせることは、僕にとって凄くありがたいことなんです。2人で一生懸命競うことで、お互いの得意なところや武器、逆にお互い足りないところが、日々の練習から明確に分かるんです。お互いにそれを理解することで、自分の課題を直す、長所を伸ばすことに集中できると。岳がいるからこそ、僕も成長をできていると思う」
ライバルがいるから、自分に足りないものに気付ける。
その想いは原田も一緒だった。
「奎斗の存在は凄く刺激になりますし、常に感謝している。奎斗がいることで、毎日良い緊張感の中でトレーニングできている。奎斗は僕が持っていないものを持っているので、自分の課題に気付くことができるし、長所を伸ばして、『絶対に負けない』という気持ちにさせてくれる。本当に大切な存在です」
開幕戦、筆者は原田の変化に気がついた。彼は、千田が得意とするビルドアップに積極的に参加をしていたのだ。もちろん横浜F・マリノスユースのチームスタイルとして、GKのポゼッション参加は重要な役割の一つだ。
しかし、原田はそれがあまり得意ではなく、昨年までは消極的な姿勢が見られたが、開幕戦では積極的にトライする姿があった。これも間違いなく、親友でありライバルでもある千田の存在が、最高学年になっても彼に火を点け続けている証拠でもあった。