サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
経歴は長友佑都、タイプは内田篤人。
U-23・室屋成がリオへの道を切り開く。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2016/01/25 11:25
世代別の代表に名前を連ね、プロからのオファーもありながら室屋成は明治大学での成長を選んだ。
大学の仲間から届いたジョーク混じりのLINE。
プロ選手はリカバリーを重視し、それぞれのやり方で実行している。それに対して、室屋は原始的な回復方法で、自然児そのままだ。それでも十分に回復できるということは、基礎的な体力が相当あるのだろう。実際、イラン戦では延長戦に入っても室屋の運動量と走力はほとんど落ちず、アシストとなる質の高いクロスを入れた。
日本を救ったイラン戦のアシストは、大学の仲間やスタッフにも大きな衝撃を与えたようだ。
「あんなん(クロス)大学の試合で見たことないぞ。大学で手抜いとるんか」
軽いジョーク混じりのLINEがたくさん届いた。「いや、手は抜いてません」と、返信したが、室屋は応援してくれる仲間の気持ちがうれしかったという。
長友佑都と同じ、明治大学からFC東京という道。
室屋は、明治大学の学生である。
この時期は大学の試験期間だが、最終予選のメンバーに入ったので追試の申請をした。帰国後24単位分の試験を受ける予定だが、最終予選を突破すれば気持ちよく試験を受けられる。また、ゼミの卒論も書かなくてはならない。テーマは自由だがサッカーのことを書く予定だ。もともとプロ志望でもあり、プロになれば、そうした大変な作業から解放されるのだが……。
「大学進学を選んだのは自分ですし、そのことに後悔はしていません。大学サッカーのレベルもありますが、監督といろいろ話をしたり、プロでの経験は昨年、FC東京で強化指定でプレーさせてもらっていますので、それほど困ったことはないです」
明治大学から強化指定でFC東京という流れは、長友佑都の系譜でもある。もっともスタイル的にはインテルの先輩よりも内田篤人に近いタイプだ。ただ、目指すところは彼らと同じ高みゆえ、リオ五輪の出場権は何がなんでも持ち帰らないといけない。そのモチベーションになっているのが反骨心だという。
「周囲の人たちから『リオ五輪出場はなかなか難しい』と言われていたので、絶対に五輪を決めてやろう、見返してやろうという意気込みで戦っています。難しいと言われると逆に燃えるんですよ。その中でいい状態で戦えているし、雰囲気もいい。次のイラク戦で決めたいですね」