サッカーの尻尾BACK NUMBER
ネイマールがメッシ、ロナウドを超える?
敵地のクラシコは伝説が生まれる場所。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byGetty Images
posted2015/11/21 10:40
「バルサとマドリーの関係はブラジルとアルゼンチンの関係性に似ているよ。とても難しい試合になるんだ」と語るネイマール。
今季のベストゴール決定と言われる美しいゴール。
ここにきてネイマールの評価を急激に高めたのが、11月上旬の2試合だ。
まずはチャンピオンズリーグのBATE戦。ネイマールは2得点を決め、バルサでのCLでの得点を16とし、14点のロナウジーニョを抜いた。
もうひとつは、ビジャレアル戦。ネイマールは左から来たボールを浮かせて相手ディフェンダーの頭の上を抜き、ダイレクトでボレーを決めた。今季のベストゴール決定とも言われる、華麗な1点だった。
2004年の2月のオサスナ戦で、ロナウジーニョが似たようなゴールを決めていることも、比較論に勢いをつけた。
かつてロナウジーニョとプレーしたルイス・エンリケは言う。
「ネイマールは特別な存在。私はロナウジーニョと一緒にプレーする幸運に恵まれたが、彼のプレーにはチームメイトまで見とれていたものだ。ネイマールも同じで、すべてのプレーが際立っている」
一般紙のエル・パイスは記した。
「そしてネイマールはロナウジーニョとなった」
記録ではなく、記憶で伝説に並ぶ必要がある。
数字の上では、ネイマールはすでに上を行く。得点率(ロナウジーニョは0.45、ネイマールは0.63)で上回り、昨季は3冠も成し遂げた。
しかしネイマールがロナウジーニョを抜くために必要なのは、数字やタイトルよりも、いかに記憶に残るプレーを残せるか、この1点につきる。
獲得タイトルやゴール数よりも、バルセロニスタはビジャレアル戦での魅惑のゴールを評価する。事実、ロナウジーニョが人々の心に残したのはゴール数ではなく、忘れられないプレーの数々だ。
その意味でネイマールがロナウジーニョにさらに近づくためのひとつのきっかけは、今回のクラシコにある。