サッカーの尻尾BACK NUMBER
ネイマールがメッシ、ロナウドを超える?
敵地のクラシコは伝説が生まれる場所。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byGetty Images
posted2015/11/21 10:40
「バルサとマドリーの関係はブラジルとアルゼンチンの関係性に似ているよ。とても難しい試合になるんだ」と語るネイマール。
ベルナベウでロナウジーニョが喝采を浴びた日。
今から10年前、2005年11月19日、ロナウジーニョはベルナベウで記念碑的なプレーを見せチームを勝利に導いた。
ベルナベウがロナウジーニョに喝采を浴びせた日、である。
ドリブルからふたりを抜き1点目を決めると、19歳のセルヒオ・ラモスをあっさりとかわし2点目を決めた。1点目は、53メートルを7タッチでゴールまで駆け抜けた。要した時間は13秒。当時のライカールト監督は「ボールコントロール、技術、フェイント。全てが完璧だった」と感嘆した。
スピードとキレに、あふれんばかりのアイデア。まさに全盛期のロナウジーニョがそこにいた。
そもそもベルナベウが、バルサの選手に拍手を送ることはほとんどない。
古くは1974年のヨハン・クライフ。1983年にはディエゴ・マラドーナのプレーに拍手が送られたことがある。限られた偉人が見せた、限られた最高のパフォーマンスにしか、宿敵への賛辞は許されないのだ。
「あの試合は、未だに忘れられない」
ロナウジーニョは10年前のクラシコを思い出す。ベルナベウに刻まれた、10年前のクラシコの記憶。
ロマーリオから連なる系譜に名前を刻むために。
ネイマールはこのクラシコで、クリスティアーノ対メッシという絶対構造を崩し、敵地の喝采をひきだせるか。
ロナウジーニョは言う。
「誰もが、それぞれの時代を生きている。ロマーリオ、ロナウド、リバウドに僕が、ブラジル人の記憶をバルサに残していった。ネイマールはそれを未来に繋ぐ存在なんだ」
ネイマールがクラシコの主役となる日。誰よりもそれを楽しみにしているのは、記憶をつなぎ続けた偉大な先人たちなのかもしれない。