サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
スタメンにロンドン世代が11分の3。
「ロシアの主役」の台頭はまだか。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/06/19 10:40
シンガポールにまさかの引分を喫し、2次予選の厳しいスタートを切ったハリルホジッチジャパン。この停滞感を吹き飛ばすには、新勢力の台頭が必要だ。
原口、大迫、酒井宏は暗雲、柴崎はスタメン間近か。
原口元気は、イラク戦こそ不慣れなトップ下のポジションで1ゴールを決めて結果を出したが、シンガポール戦では経験のないボランチのポジションでの起用となり、「難しかった」と表情をくもらせた。その起用方法からも監督の信頼をまだ十分に勝ち取っていないようだ。
大迫は、シンガポール戦で途中出場を果たしたが、ボックス内での役割が整理されておらず、良さを発揮することができなかった。
柴崎はイラク戦、シンガポール戦にスタメン出場を果たした。「もう若いという意識はない。中心でやっていく意識でいるし、もっとやれることはあると思います」と、レギュラー定着への意欲と向上心が高く、これからポジションを完全に掴みそうな勢いだ。
酒井宏はイラク戦、シンガポール戦の2試合、右サイドバックとしてスタメン出場を果たした。
「試合に出れたのはアツくん(内田篤人)がケガで外れているからなので、純粋な意味でレギュラーを取れたとはまったく思っていません。ただ、代表で僕らの世代がやっていくのは当然だと思うし、今回岳(柴崎)やウサ(宇佐美)も自信をもってやっていたんでね。特に前の攻撃はスゴかった。でもサッカーは年齢じゃないから、僕はあまりそこは意識せずに、いい選手がいればどんどん代表に入ってきて競争して、いいチームになっていけばいい。僕は世代どうこうよりもチーム力を大事にしていきたいですね」
酒井自身は内田との差をまだ感じている。今回のパフォーマンスも及第点とは言えないだろう。今後、ケガが癒えた内田とハイレベルな競争ができるかどうかが、レギュラー獲得のキーポイントになるだろう。
宇佐美「僕らが引っ張っていく気持ちを」
ロンドン世代の中でも、レギュラーポジションを確立しつつあるのが、宇佐美だ。ロンドン五輪本大会ではほとんど出番がなく、辛い思いをした。ブラジルW杯は直前のケガでチャンスを失った。昨年、アギーレ前監督の下では代表に招集はされなかったが、ガンバ大阪で3冠達成に貢献。3月、ハリルホジッチ監督になって久しぶりに日本代表に招集され、ウズベキスタン戦ではドリブル突破からゴールを決めて指揮官の期待に応えた。今回、イラク戦、シンガポール戦にスタメン出場を果たし、熾烈な2列目の競争相手であるライバルたちを1歩リードしつつある。
「僕ももう23歳ですし、岳や武藤もそうですけど、僕らの世代がもっと出てこないといけない。もちろん、圭佑くんたちと一緒にプレーする中で、いろんなことを吸収していきたいと思いますけど、まぁ憧れてばかりとか、尊敬ばかりしていられない。上の選手に頼ってばかりいられないし、僕らがチームを引っ張っていく気持ちを持たないと、チームとして底上げすることができないと思っています」
シンガポール戦では、なかなか自分の思うようなプレーができなかったが、「左の貴史が機能していた」と香川が言うように、選手からの信頼も増しつつある。伸び悩むロンドン世代だが、宇佐美の存在は同期にとって大きな刺激になっているはずだ。