山口「同世代うんぬんよりも、競争に勝つこと」

　山口は、「同世代」という殻から脱皮しようとしている。世代の仲間意識は大事だが、まずは自分がピッチに立たなければ自身が淘汰されてしまうと、かなりシビアに現状をとらえている。

「今回の代表は自分らの世代が多いですけど、自分も含めてポジションを取れていない。同世代うんぬんよりも、まず競争に勝ってポジションを確保しないといけないし、それぞれがピッチに立つことが大事かなと思います。それがスタートやと思うし、その時ピッチに立っているのが自分らの世代であればいいかなと」

　山口は、ブラジルW杯では遠藤保仁からポジションを奪い、グループリーグ3試合に出場した。世界の舞台で経験を積んで成長し、ロシアW杯では主力選手のひとりになると言われていた。しかしその後、膝の故障で長期離脱、所属するセレッソ大阪がJ2に降格するという逆境に苦しんだ。今シーズン復帰は果たしたが、膝にも自分のプレーにもまだ違和感を抱えている感じだ。

「試合数もこなしてきているんで、3月の代表の時よりは不安はない状態です。フィジカル的な問題もないです。チーム（セレッソ）がうまくいっていないだけで代表では割り切っているんで。自分は、まだ予選も経験していないし、それがどんなものかもわからない。とにかく、また呼んでもらえるようなプレーをしていくことが大事かなと思います」

　練習中、監督からプレーやポジションについて何度も指示を受けた。それは期待の裏返しでもあるはずだ。膝も試合勘も、山口が本来のフォームを取り戻すにはもう少し時間が必要だ。

清武弘嗣はトップ下起用が決まっていたが骨折で……。

　清武は、ロンドン世代では最も代表歴が長い。ブラジルW杯3次予選の初戦・北朝鮮戦で吉田麻也の決勝弾をアシストし、それ以降代表に定着した。だが、W杯直前に出番を失い、出場はわずか5分に終わった。大会が終わった時、悔しさを噛み締め「次（ロシア）は、自分がキャプテンをやるぐらいの気持ちでやりたい」と熱く語っていた。ロシアW杯に向けての代表ではレギュラー候補に挙げられていたが、彼もまた、ポジションを確立できていないひとりだ。

「なかなかポジションを奪えないのはありますが、今も自分らの世代がやらないといけないという気持ちは変わらないです。前回の予選の時は、みんなについていくみたいな感じだったですけど、ロシアW杯では28歳になるわけですし、いつまでも若手でいられない。なかなか試合に出られないけど、自分がやるんだという気持ちは失わずに地道にやっていくしかないと思っています」

　清武は、今回の招集が大きなチャンスだと思っていた。それまでのサイドではなく、ハノーファーでのポジションと同じトップ下での起用が決まっていたからだ。

「トップ下は一番やりたかったポジションですし、自分のいいところを出せるポジション。そこで真司くんと競争しながらやっていければ、チーム全体の力もアップすると思うんで」

　自分の力を存分に発揮できるポジションで香川との競争を楽しみにしていたが、残念なことに右足第五中骨骨折が判明し、イラク戦前に戦線離脱してしまった。

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