欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
笑顔のシャビ、泣きはらしたピルロ。
CL決勝で交錯した「有終と悔恨」。
posted2015/06/07 12:15
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
6日のベルリンの空は快晴だった。
欧州の夏本番はもう近い。しかし、CLファイナルを見届けないことには、バカンスの海も山もないのだ。
ユベントスにとって今季57試合目、バルサの60試合目にあたる欧州サッカー今季最後の試合は、バルセロナがいきなり先手をとった。
4分、MFイニエスタの右足アウトサイドによるアシストに、MFラキティッチがダイレクトで合わせてバルサが先制点を挙げた。
起点は、中盤右サイドにポジションを下げていたFWメッシ。メッシの放った寸分違わぬサイドチェンジを受けた左SBジョルディ・アルバが、ワンタッチでFWネイマールへ。ネイマールはペナルティエリア内に飛び込んだイニエスタへ展開した。相手のプレスより早く、正確に、バルセロナはユベントス守備陣の穴を突いた。
敵陣の崩し方の教本のようなバルサのパスワークによって早々に先制されたユベントスは、苦しい立ち上がりになった。
後手に回ったユーベをバルサが攻めたてるが……。
対応が後手に回り、苛立つMFビダルは11分のラフプレーで、早くもイエローカードをもらってしまう。司令塔ピルロもボールに触れず、チーム全体のペースがつかめない。試合開始から10分ほどが過ぎた頃、ユベントスはすでに汗だらけだった。
ユーベのプレスが緩いと見てとったバルサは、難なくボールをキープすると、攻勢を強めた。
ネイマールが立て続けにゴールを狙い、FWスアレスのパスに合わせたSBダニエウ・アウベスも惜しい右足シュートを放った。スアレス自身も、39分と40分のシュートでユーベのゴールを襲った。
しかしユーベの守護神ブッフォンが、12年ぶりにつかんだCL戴冠のチャンスを容易に諦めるはずがなかった。ファインセーブを連発し、48分にも、カウンターからスアレスが右足アウトサイドで放ったシュートを弾きだした。
そして51分、メッシの超絶技巧ドリブルシュートを凌ぐと、ユーベはようやく重苦しい空気を払拭し、反撃に出た。