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ACL敗退、Jでも不調、苦悩の鹿島。
育成主義が直面した壁と世代交代。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/05/13 10:30
鹿島で今季からキャプテンマークを巻き、名実ともに中心選手となった柴崎岳。しかしその柴崎も、遠からず海外へ移籍することが確実視されている。
世代交代という過渡期の苦しみはより大きなものに。
鹿島は、2009年の3連覇以降リーグタイトルから遠ざかっている。
2012年の年間順位11位という過去最低の成績を経て、鹿島の首脳陣の危機感は徐々に高まっている。
即戦力として大卒を獲得したり、他クラブからの補強獲得も徐々にではあるが活性化している。
そして、2013年に就任したトニーニョ・セレーゾ監督は、若手の強化に積極的に取り組んでいる。その結果として昨季は3位という好成績を収めたが、ルーキーが2シーズン目に苦労するのと同様に、若手の勢いだけでは結果は続かない。世代交代というチームの過渡期を迎え、苦しんでいるのが2015年のファーストステージなのかもしれない。
「今、若い選手が試合に出るようになり、それ(過渡期)というのを少しづつ感じてはいます。そういう中で、もっとチームを上手くまわしたいという想いはあるんです。しかし、その難しさも感じている。チームのことを考えすぎて、自分のプレーが疎かになるのもダメだし。でも、こういう状況は自分が成長するためのいいきっかけになるんだと思う。そういう成長ができる感覚がありますね」
2011年にコンサドーレ札幌から移籍加入した27歳の西大伍の言葉からは、中堅選手としての自覚を抱き、同時にもがいている様が伝わってくる。
「鹿島でプレーしていると、常に自分の足りないところがあるんだと感じさせられる」
今回27歳にして初めて代表候補合宿に招集された遠藤康は、2007年加入後、鹿島で積み重ねてきた時間をそう振り返った。
出場メンバーが固定されていないことの影響は?
FC東京戦のベンチ入りメンバーの平均年齢は25.72歳。年齢構成は以下の通り。
20歳~24歳 9名(うち外国人選手1名)
25歳~29歳 6名(うち外国人選手1名)
30歳以上 3名。
結果が出ていないので選手の入れ替えも多く、リーグ戦10試合すべてに出場したのは3選手のみ。しかし逆に、26選手中リーグ戦に起用されていないのも3選手しかいない。その3人もベンチ入りを経験している。選手間競争が活発になれば、チームとして戦力の底上げに繋がる可能性もある。