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リッピ、ネドベド、ブッフォン――。
CLで12年前の再現を狙うユーベの魂。
text by

弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/05/04 10:30

ここ数年は国内で無敵を誇りながらも、欧州の舞台では結果を出せずにいたユベントス。ドイツに奪われたCL出場枠を取り返す意味でも、国内の熱狂は大きい。
ネドベド「12年前のことが脳裏に甦ったよ」
'96年にユーベでCLを制した名将リッピは、ミランを率いていた頃からアッレグリを高く評価していた。継続的な強化が許されなかったにも関わらず、4季連続CL決勝トーナメント進出を果たした気鋭の指揮官の姿に、自らの若い頃を重ねている。
「アッレグリの聡明さが窺えるのは、コンテ(前監督)のチームを一気に変えるのではなく、自らの理念を少しずつ注入していった手腕だ。私の経験上、チームというものは勝ち上がる毎に強くなる。イタリアで事を成した今、欧州でもユーベが復権するときだ」
'03年にリッピの下でレアルを倒したネドベドは、ニヨンでの抽選会にユベントス経営幹部の一人として参加した。
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「レアルとのドローを見た瞬間、12年前のことが脳裏に甦ったよ」
レアルとの死闘の末につかんだオールド・トラッフォードでの決勝戦に、ネドベドは累積警告で出場できず、ユーベはミランとの同国対決にPK戦で敗れた。彼は、12年前の選手時代に獲り損ねたビッグイヤーを、今も狂おしいほど渇望している。
「今度もあのときと同様に、レアルが優勢と見られている。だが、うちもあの準決勝を再現できるよう全力を尽くそう。今季のユーベはシーズンを通して強く、たくましくなった。レアルの化物たちと対峙する用意はできている」
ブッフォン「俺に残された時間は少ない」
主将ブッフォンは、12年前にレアルを破った唯一の選手として、5日と13日の決戦に臨む。
「正直にいえば、俺のキャリアに一度もCL優勝のタイトルがないことも、ユーベがもう20年近く欧州の頂点から遠ざかっていることも、心に重くのしかかっている。俺に残された時間は少ない。どうしてもCLで優勝したいんだ。12年前とちがって、今季ユーベがここまで勝ち上がってくると予想した者はいない。だが、俺たちはここまできたんだ。やるしかないだろ」
ユベントスは準決勝の舞台に帰ってきた。ずっと高みにいたレアル・マドリーといつか再び相まみえる時がくる、と誰もが待ち侘びていた。
イタリアの盟主とスペインの巨人によるセミファイナルは、現役組やOB、監督たち、誰にとっても12年分の思いが詰まった2試合になるはずだ。
