セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
リッピ、ネドベド、ブッフォン――。
CLで12年前の再現を狙うユーベの魂。
text by

弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/05/04 10:30

ここ数年は国内で無敵を誇りながらも、欧州の舞台では結果を出せずにいたユベントス。ドイツに奪われたCL出場枠を取り返す意味でも、国内の熱狂は大きい。
経済力はほぼ半分、しかしカレンダーはユーベに利。
クラブの経済力を比較しても、欧州最高額の総売上5億5000万ユーロを誇るレアルに比して、ユーベのそれは半分をわずかに超える程度に過ぎない。
だが勝機がまったくないのか、といえばそうでもない。
まず、国内のカレンダー上でユベントスにかなりの利がある。
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セリエAを独走するユーベは、残り5節で勝ち点1を上積みすれば、セリエAの自力優勝が決まる状態だ。つまり、スクデットはほとんど手にしたも同然で、5月2日のサンプドリア戦の直後から、CLだけに集中できる強みがある。
一方、リーガの首位バルサを勝ち点2差で追うレアルは、ユーベとの準決勝2試合と前後して、難敵セビージャとバレンシアとの連戦を控えているため、まったく気が抜けない状態が続く。
敵将であるアンチェロッティも「ユーベはすでにスクデットを獲ったも同然。われわれとの準決勝だけに集中してくるだろう。レアルもベストの状態でかからなければ」と警戒する通り、厳しいスケジュールが指揮官を悩ますだろう。
ポグバが2ndレグに復帰すればインパクトは大きい。
チームコンディションの状態を見ても、2015年版“銀河系”は中盤の要であるMFモドリッチを負傷で欠く。シーズンの最終盤を迎え、C・ロナウドとMFハメス、FWチチャリートのトリオが脅威を増す最中とはいえ、MFベイルとFWベンゼマの復帰は微妙だ。
対するユベントスの心身のコンディションは、エースFWテベスと守備陣を中心に上昇の一途にある。
故障離脱中のMFポグバについても、マドリードでの2戦目から復帰させるべく、メディカル・スタッフが全力を尽くしている。3月のドルトムント戦で肉離れを起こすまでチームを牽引する一人だったポグバを投入できれば、戦力としてのインパクトだけでなく、チームの士気がこの上なく高まるのは間違いない。アッレグリ監督も「すでに練習に参加しているし、うまくいけば2戦目には間に合う」と楽観的だ。