リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
16歳ウーデゴールを筆頭に若者買い。
レアルが恐れる「補強禁止」の行方。
posted2015/05/05 10:40
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
4月29日にサンティアゴ・ベルナベウで行われたリーガ第34節アルメリア戦に、マルティン・ウーデゴールが初めて招集された。
そのままピッチに立っていたら、'95年6月にアルベルト・リベラが作ったレアル・マドリーの最年少デビュー記録「17歳と114日」を塗り替えていたが、彼はまだ16歳と4カ月あまり。記録更新は時間の問題だろう。
ウーデゴールは今年1月レアル入りした期待の新人だ。
昨年15歳でノルウェー1部リーグとA代表デビューを果たし、父親に導かれて欧州中のビッグクラブに移籍先を探し始めたところ、有名どころがこぞって手を挙げた逸材である。プレミアのあるクラブとの交渉では父親が「直ちにトップチーム入り」を要求したというから肝の太さも並大抵ではないが、レアルはこれを部分的に飲み、「練習はトップチーム、週末の試合は(当面)Bチーム」という16歳には破格の条件で口説き落とした。それだけのポテンシャルを彼に見出したのだろう。
現場の要請ではない、不自然な青田買い。
ところでレアルの現会長フロレンティーノ・ペレスといえば、かつて完成した選手のみを買い集め、チームを銀河系選抜化した張本人だが、ここ数年は伸びしろある若手に触手を伸ばしている。
強さの持続という点では非常に建設的な方向転換だ。
が、それにしても今季の若者集めは不自然である。
稀にみる獲得競争が繰り広げられたウーデゴールは別としても、12月頭に契約をまとめた2部マジョルカのMFマルコ・アセンシオ19歳。クルゼイロでのシーズンを終えたばかりというタイミングで買い取ったMFルーカス・シウバ22歳。そして3月31日に来季の加入を発表したポルトの右SBダニーロ23歳。
どのポジションもシーズン中に急いで補強する必要はなかった。事実、クリスマスのリーガ中断期に入る前、アンチェロッティは「冬の新戦力獲得はない」と“現場の意見”をはっきり述べている。