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「最年少」「海外組」という二面性。
U-22における南野拓実を考える。
posted2015/03/31 11:35
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Getty Images
“海外組には期待している”
リオ五輪1次予選が始まる前、手倉森誠監督が久保裕也と南野拓実、2人に投げ掛けた言葉は、海外組としての存在意義を証明しろというものだった。
とくに結果が求められたのが南野だ。今年1月にセレッソ大阪からオーストリアのザルツブルクに完全移籍。現在20歳の南野はU-22日本代表ではひとつ下の世代だが、そこからリオ五輪1次予選に招集されたフィールドプレイヤーは南野だけだ。それだけ監督の期待の大きさがうかがえた。
監督が南野に要求したのは、国内組との「違い」を見せつけることであり、「結果」だった。予選は親善試合と異なり、相手が100%で向かってくる。その中で海外での経験を活かし、ゴールを決めてチームを勝利に導いてほしい。それが海外組の仕事であり、攻撃的なポジションでプレーする選手の責務でもある。そのことをチームに合流した南野も十分認識していた。
「自分はU-17やU-19でアジア予選を戦っている分、こういう(予選の)経験がみんなよりも多い。それに、この暑さは昨年ミャンマー(U-19アジア選手権)で経験しているんで、ここに来る前から自分の中でイメージしてきた。それらを今回の予選に役立たせていきたい。あと、自分は2試合しか出れないので、ゴールやアシストという結果でチームに貢献したいですね」
10度のザルツブルクから、30度のマレーシアへ。
予選の初戦となるマカオ戦前日、南野の表情はやる気で満ちていた。ただ、暑さへの順化は思った以上に大変だった。南野が所属するザルツブルクの気温は、まだ10度前後。ダウンが欠かせない気温から30度近い高温多湿のマレーシアに移動してきたのは、マカオ戦の4日前だった。動いていると汗が吹き出し、体が重くなる。だが、南野はそれをネガティブに捉えず、逆に涼しい顔で「結果を出す」と、ゴールへの欲求をむき出しにしていたのである。