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「最年少」「海外組」という二面性。
U-22における南野拓実を考える。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2015/03/31 11:35
19歳にして海を渡り、オーストリアに移籍した南野拓実。「セレッソユースの最高傑作」と言われた男の真価はしかし、まだ存分に発揮されているとはいいがたい。
マカオ戦で1ゴール1アシストの「違い」。
マカオ戦後半18分、南野は「点を取ってこい」とピッチに送り出された。だが、なんとなくボールが落ち着かない。南野らしからぬトラップミスやパスミスを連発し、なかなか自分のリズムに乗れなかった。だが後半47分、ポストプレーで野津田岳人にアシストをすると、その1分後だった。浅野拓磨のダイレクトパスをDFの背後で受け、GKの動きを見て、冷静に左に流し込んだ。南野は監督の期待に応え、海外組としての仕事をやってのけたのである。
「アシストしてから余裕持ってやれたし、点が取れて良かったと思います。ただ、修正すべき点もありました。雑なプレーというかトラップミスとかイージーなミスが多く、個人的なフィーリングとして今ひとつフィットしないところがあった。まぁ初戦で結果が出せたけど、1点取れたからといってホッとしたとかはない。もっと仕事をしないといけないと思っているんで」
欧州で変わった「貪欲な姿勢」。
1点ぐらいじゃ満足できない。ゴールへの意識はセレッソ大阪にいた時から人一倍強かった。だが、ザルツブルクに移籍してからさらに高まったという。
「チームには若い選手が多く、普段から『試合に出してくれ』、『オレが点取る』みたいな中で練習をやっている。まだ移籍して2、3カ月なので自分の何かが大きく変わったというのは分からないですけど、より貪欲に試合に出たい、点を取りたいと思うようになりました」
ザルツブルクはオーストリアの中では大きなクラブだが、オーストリアの選手や若い選手は、そこからはい上がってドイツや他国リーグに移籍することを目標にしている。オーストリアリーグ全体の技術レベルはそれほどではないが、プレーの激しさはドイツ・ブンデスリーガにも劣らないほどだ。南野は、そのリーグで成り上がりを狙うギラギラした若手の中に混じり、さらに上を目指すべく結果を追い求めている。