動物的な瞬発力と猛烈な返球の静岡・鈴木将平。

　同様の生命力は、静岡高・鈴木将平外野手（2年）にも強く感じている。1年上の捕手・堀内謙伍、遊撃手・安本竜二の強肩・強打に前評判が高まっている中、私は鈴木将平の敏捷性、柔軟性、そして抜群の瞬発力のほうにより将来性を感じてしまうのだ。

　遊撃正面のゴロを内野安打にしてしまうスピード。次打者の初球でスタートして二塁を奪ってしまうバイタリティ。パスボールの投球がはねた瞬間にスタートをきって本塁生還の動物的反応。これすべて、5分間ほどのうちに起こった出来事だ。

　追い込まれるまではフルスイング。2ストライクからは、“自分のストライク”が来るまでファールで粘って、根負けした失投を待ってましたのジャストミート。こういう選手が天才なのだろう。

　加えて、なにがなんでも刺してやる！　という外野からの猛烈な返球には、ほほえましい野球小僧の匂いをプンプンさせていて、こういう無邪気さが「これから伸びていくみずみずしさ」そのものなのだろう。

目玉である県岐阜商・高橋純平の完成はずっと先。

　そしてなんといっても、このセンバツの「目玉」は県岐阜商・高橋純平投手であろう。

　しかし、彼はまだ早いと考えている。本格派である。

　しかも、投手としての品格すら備えた本物の本格派と評したい。

　この投手を決して、「最速152km」みたいな下世話な形容で語ってはいけない。彼の肩まわり、腰まわりに必要な筋肉量が加わって、インナーマッスルがもっと強くなって、体重が85kgぐらいになった時、高橋純平はなんの欠点もない、球史に残る存在になろう。

　だから、今じゃない。そっとしてあげてほしい。

　このセンバツで、どのようなパフォーマンスを見せたとしても、それらはすべて通過点。「次は150km狙いますか？」みたいな、見識を疑われるあおり方は控えよう。

　しかし、それもきっと杞憂に終るだろう。そんなことにあおられるほど、彼は愚かではない。

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