スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
アトレティコ復帰のF・トーレス。
帰還の裏にある「愛」という戦略。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byMarcaMedia/AFLO
posted2015/01/28 10:30
F・トーレスは最大のライバルであるレアル・マドリーとの国王杯で2ゴールを決め、チームを勝利に導いた。
レアルを相手にベルナベウで復帰初ゴール!
とはいえ、そういったピッチ外の部分も含め、結局のところ「トーレス効果」の大きさはピッチ上における彼のパフォーマンス次第となる。その意味で、彼のアトレティコでの滑り出しはこの上ないものだと言えるだろう。
1月15日、サンティアゴ・ベルナベウで行なわれたコパデルレイ5回戦第2レグのレアル・マドリー戦で決めた電光石火の2ゴールが、世界中に衝撃をもたらしたからだ。
キックオフから僅か50秒で決めた先制点と、後半開始から36秒で決めた追加点。いずれもアントワン・グリエスマンの見事なお膳立てをただ決めるだけの“ごっつぁんゴール”だったが、それでもこの2ゴールがもたらしたインパクトの大きさは図り知れないものだった。
何せ今季これまで1ゴールしか決めておらず、113日間も無得点が続いていた男が、過去5回訪れて一度もゴールを決めたことがないサンティアゴ・ベルナベウで、宿敵相手に移籍後初得点を含む重要な2ゴールをいともあっさりと決めてしまったのだから。
いずれにせよ、7年半の歳月を経て再会したアトレティコとトーレスの物語は始まったばかりだ。その結末がどうなるのかは分からない。だが少なくとも、今の彼が幸福と希望に満ち溢れていることは確かだ。