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辛勝のシャルケがCL本戦出場決定!
内田篤人が語った2つの“嬉しいこと”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2013/08/28 12:05
CLのかかった重要な一戦で、1st、2ndレグともにフル出場し、2季連続となるCL本戦出場に大きく貢献した。欧州トップクラブとの対戦を内田も楽しみにしていることだろう。
右足太ももの張りで、先週の土曜日に行なわれたハノーファーとのリーグ戦を内田篤人は欠場した。
「火曜日のCLまでには100%の状態にして試合で出られるか?」
ハノーファー戦の前日の練習を終えたあとにケラー監督にそう問われると、内田はこう答えている。
「出られます」
その言葉通り、同じく出場を危ぶまれていたファルファンとともに、ギリシャのPAOKテッサロニキとのCLプレーオフのセカンドレグではスターティングメンバーに戻ってきた。
先週行なわれたシャルケのホームでのファーストレグは終始ゲームを支配しながら、まさかの1-1の引き分け。シャルケが90分で勝ち抜けを決めるためには、2-2以上の引き分けか、PAOKに勝つしかなかった。ブンデスリーガではここまでの3試合で9失点と守備が崩壊しており、1分2敗で勝ちがない。
シャルケのUEFAクラブランキングは15位なのに対して、PAOKテッサロニキは73位。さらに、PAOKがプレーオフに進めたのは、CL予備予選3回戦でPAOKを下したウクライナのメタリストが八百長に関与した疑いで、出場資格を取り消されたからだ。不調とはいえ、実力を発揮できさえすれば、順当にCL本戦にコマを進められるはずだった。
にもかかわらず、シャルケは苦しんだ。
中盤で目まぐるしくボールが行き来する緊迫した展開に。
ホームとはいえ、格下のPAOKはハーフウェイラインあたりからブロックを作り、全体をコンパクトにしてボールを奪ってからのショートカウンターを狙う。
シャルケはDFラインで慎重にボールをまわしながら攻撃を組み立てようとするが、PAOKの選手たちのプレッシャーがきつく、思うようにパスはつなげない。ただ、PAOKにボールを奪われても、そこからの反撃は防いでいたため、ボールが両チームの間を目まぐるしく行き来する展開が序盤から続いていた。
前半の40分過ぎのことだ。
「積極的に、前線にオーバーラップしろ!」
内田がケラー監督から指示を受けた。
「相手の11番が裏を狙っているし、サイドの俺らが上がったところを狙っているから……」
そう感じていたものの、監督がそこまで言うならと思い、勇気をもって前に進んだ。