ロナウドが中央で警戒を引き付け、左サイドへ展開。

　モドリッチとクロースが中心となってピッチの中央でショートパスをテンポ良くつなぎ、それに呼応してサイドのロナウドもハメス・ロドリゲスも中央に入ってくる。特に、ドリブルあり、中距離砲ありのロナウドにはリバプール守備陣も最大の警戒を示さざるをえず、結果的に、守備ブロックの意識はじわじわと中央へ傾く。

　展開役のモドリッチとクロースは、そのタイミングを見極めて中距離のパスで相手を揺さぶり、イスコとマルセロが絡む左サイドを軸に攻撃を組み立て始めた。意識を中央に集められたリバプール守備陣は対応が遅れて後手を踏み、仮に対応が間に合っても、それを察したレアル・マドリーはゆったりと逆サイドへ展開する。

「上手い」とは、ミスが少ないことである。

　先制点を奪ってからの展開は、まさに理想的だ。

　リバプールは自陣に構える一方となり、小刻みに振り回されて体力を消耗する。スピードのあるファビオ・ボリーニやアダム・ララーナ、さらにドリブラーのラザル・マルコビッチが時折カウンターを仕掛けたが、サポートはなく、セルヒオ・ラモスとラファエル・バランのCBコンビにあっさりと行く手を阻まれる。

　69分、リバプールはルーカスとマルコビッチに代えて、スターリングとジェラードを投入。さらに75分にはコウチーニョを投入するが、3人とも全くと言っていいほど見せ場を作ることができない。一方、「上手さ」で上回るレアル・マドリーはブロックの崩し方における手本を示し続ける。

　彼らの「上手さ」が保証するのは、ミスの少なさである。中盤で相手をおびき出すために細かいパスをミスなくつなぎ、ポジションごとの“出入り”を繰り返して相手の体力を奪う。それまで孤軍奮闘していたルーカスとマルコビッチが交代せざるをえなかったことが、その効力の大きさを物語っている。

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