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<独占公開、W杯の真実> 矢野大輔・ザックジャパン通訳日記 ~コートジボワール戦に向けた準備とミーティング~
text by
矢野大輔Daisuke Yano
photograph byHirofumi Kamaya
posted2014/10/02 11:30
長谷部「監督、昨日のザンビア戦、怒ってるでしょ?」
<2014年6月7日(土)>
ブラジルに向けて移動。9時30分タンパ発、19時サンパウロ着のチャーター機で飛ぶ。
タンパのセキュリティコントロールで、岡崎(慎司)そっくりの人がいて、思わず皆で笑ってしまった。皆に愛されている岡ちゃん。
チームの雰囲気は悪くない。機内で長谷部(誠)が「監督、昨日のゲーム(ザンビア戦)、怒ってるでしょ?」と話す。「怒ってるというか、満足いってないんじゃないかな」と答える。それは選手も皆感じていると思う。
<2014年6月8日(日)>
今日の練習から長谷部がフル合流。やっぱりキャプテンがいると雰囲気が締まる。
ヨシト(大久保嘉人)がチームに良い影響を与えている。柿谷(曜一朗)、香川(真司)、清武(弘嗣)、山口(蛍)ら“セレッソ軍団”のリーダーとして彼らをしっかりまとめている。
夕食後、盛り上がった卓球大会の後で……。
<2014年6月9日(月)>
10時からテクニカルMTG。コートジボワールの分析。攻守両面の特徴を綿密に洗い出した上、コートジボワール戦のポイントを5つにまとめる。
(1)サイドチェンジ、裏に精度の高いボールを蹴らせない。
(2)ボールの位置に合わせて、チーム全体が移動すること。
(3)相手にプレスが掛かっている状況、そうでない状況の見極め。
(4)ゲームから90分間消えないこと。
(5)11人で攻守をすること。
16時からトレーニング。チーム全体が高いレベルで集中できている。かなり良い準備が進んでいると思う。
<2014年6月10日(火)>
今日はオフ。午前中は記者会見とテクニカルMTG。その後は軽く体を動かして、ショッピングに行ったりしてリラックス。
夕食後、卓球大会が開かれる。発起人は本田圭佑。スタッフとの交流を考えての企画でもあった。下馬評では、柿谷、清武、山口、本田(圭佑)、岡崎、大久保優位。
準決勝は今野(泰幸)vs.香川、清武vs.大久保。決勝は香川vs.大久保。優勝は香川だった。かなり盛り上がって、皆でとても楽しんだ。
その後、長谷部と卓球会場を後にすると、監督と話したいことがあるという。
コートジボワール戦に向けて、ザックも選手たちを個別に集め、
「我々のサッカーとは何か」という哲学を熱く説いていく。
緊張と極限の集中状態の中で、ザックジャパンは初戦を迎えたが――。
つづきは、雑誌「Number」862号でお読みください。
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19冊にのぼる大学ノートに綴られた1397日間の「通訳日記」。そこには、今まで明かされることのなかったザッケローニ監督の真意や選手たちとの対話が克明に記されていた。日本代表通訳就任からブラジルW杯後のザックジャパン解散まで、世界を驚かせるために挑んだ激闘の日々を完全公開。