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<独占公開、W杯の真実> 矢野大輔・ザックジャパン通訳日記 ~コートジボワール戦に向けた準備とミーティング~
posted2014/10/02 11:30
text by
矢野大輔Daisuke Yano
photograph by
Hirofumi Kamaya
そこには今まで明かされることのなかったザッケローニ監督の
真意や選手との対話が克明に記されていた。貴重な資料の中から
ブラジルW杯に挑んだザックジャパン激闘の日々を公開する。
◇ ◇ ◇
本日発売のNumber862号「内田篤人と本田圭佑に問う。」では、
矢野大輔通訳による「ザックジャパン通訳日記」第3回が掲載されています。
今回は、ブラジルのキャンプ地イトゥに入ってからW杯初戦を迎えるまでの
準備、そして運命のコートジボワール戦の舞台裏が明らかになります。
NumberWebでは861号で掲載した本番前最後のテストマッチの
ザンビア戦から862号のブラジルでの準備期間の一部を特別に公開します!
<2014年6月6日(金)>
16時55分からの全体MTG。監督が言う。
「今日のザンビア戦はW杯前最後の試合。これまでやってきたコンセプトをすべて出そう。ザンビアは前線のスピードを生かして攻めてくる。しかし前の4枚は守りにあまり参加してこない。チームとしての連動はない。そういうところはコートジボワールにも似ている。我々はザンビアに対してチーム力で上回る。できる限り早く前に仕掛けよう。チームとしてインテンシティ、クオリティを発揮して、ビルドアップをセーフティにすること。チーム全体、攻守に連動すること。最後のテストマッチだから、テストの場として自分たちのサッカーをやり切ること」
ゲーム前のアップ中、西川(周作)を起用した理由を聞いた。
「大前提として西川が信頼できるGKだということ。本来だとコスタリカ戦で試すべきだが、相手の力も考えて川島(永嗣)を選んだ。W杯は何が起きるか分からない。西川も馴らしておかないと。全員で戦う準備が必要だ」
ザンビア戦ハーフタイム、珍しく監督が怒った。
前半を1-2のビハインドで折り返してハーフタイム。監督は珍しく怒った。
「2mの距離で足元にしかパスを出していない。インテンシティ、それを4年間言い続けてきた。このチームはできるだけ多く相手ゴールに仕掛けるために作られたチームで、そのためにこのメンバーを呼んでいる。だから自分たちのサッカーを出そう。高い位置から連動してプレッシングを仕掛けること。相手DFは足元の技術が低いからボールを奪える。前半のパフォーマンスは忘れる。後半、またゼロからやるつもりで入ろう。前半30分の戦いをしていたら、日本ではない。これだと本大会で前に進めない」
確かにゲーム前から監督は「今日は集中が足りない」としきりに言っていた。
結局4-3で勝利。アツト(内田篤人)と話す。
「コートジボワール戦、試合に出られるかな。4年前の経験があるだけにね」
明日ブラジルに向かう。いよいよW杯だ。