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<独占公開、W杯の真実> 矢野大輔・ザックジャパン通訳日記 ~アメリカ合宿中の本田、長谷部との対話~
posted2014/09/18 11:30
text by
矢野大輔Daisuke Yano
photograph by
Hirofumi Kamaya
そこには今まで明かされることのなかったザッケローニ監督の
真意や選手との対話が克明に記されていた。貴重な資料の中から
ブラジルW杯に挑んだザックジャパン激闘の日々を公開する。
本日発売のNumber861号「革命を見逃すな。」では、矢野大輔通訳による
短期集中連載「ザックジャパン通訳日記」第2回が掲載されています。
今回は本大会直前の1週間にわたるアメリカ合宿でかわされた
ザッケローニ監督と本田圭佑選手、長谷部誠主将との
信頼と覚悟に満ちた対話が明かされます。
NumberWebでは、860号で掲載した国内最後のテストマッチの
キプロス戦から861号のアメリカ合宿初日までの模様を特別に公開!
<2014年5月27日(火)>
キプロス戦当日、17時の全体MTGで監督が言ったこと。
「今日のゲーム、W杯まで3試合テストマッチがあるうちの一つ。チームの形というもの、指宿でおさらいしたものをできるだけピッチでトライしよう。指宿合宿を終えて体が重いのは分かっている。フィジカルトレーニング主体の中、本当に明るくよくやってくれた。チームとして雰囲気よく乗り切った。
今日は国内でやる最後のゲーム。ここ埼スタではたくさんの成功を共に勝ち取ってきた。今日も良い戦いを見せよう」
ゲーム前、柿谷に指示。
「スタートポジションに注意すること。とにかく裏を意識して、どんどんゴールを狙ってほしい」
ゲーム中、相手に裏を突かれたので、押し上げながらも裏のスペースをケアすることや、森重が持ち出した時、内田が結構フリーになっていることを伝える。あとは柿谷がアタッキングサードに入っても、どうしてもボールをもらいに来てしまいボックス内に人数が足りないから、裏に走るように指示する。
ハーフタイム、ゲーム中に言ったことに加えて、フィジカル、体が重くなってきたら、そこは判断力。頭のキレで勝負しようと話す。
「大輔、(日本での会見は)これで最後だな!」
後半、大久保が入る際に指示。
「センターフォワードとして、いつも通りでいい。抜けるタイミング、もらいに来るタイミングは分かってるから、自分の感じるままにプレーしてほしい」
国内最後のゲームは1-0の勝利で飾った。
ゲーム後の会見に臨む際、「大輔、(日本での会見は)これで最後だな!」と声を掛けてくれる監督。それはそれですごく寂しい。
会見後、大久保を見つけて、「会見でヨシトの質問ばかり出たけど、一体何なんだ? ヨシトは王様か?」と冗談を言う監督。ヨシトはタジタジだった。
解散の挨拶。
「今日のゲーム、満足している。指宿でフィジカルをやって体が重いながらもよくやったし、後半にはパフォーマンスも上がった。判断力のところでもしっかり勝負できていた。1日半休みがあるから、思いっきり遊ぶように。次に合流したらサッカーだけ、トレーニングだけして勝つことだけを考えるから、この1日半、本当に思いきって遊ぶように」
香川が「週刊誌に撮られてもOK?」とおどけてみせる。全員笑顔で一時解散。