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《資産46兆円のサウジマネー》がニューカッスル買収… PSG、シティを上回る資金力でモウリーニョ、ハーランド獲りもある?
posted2021/10/15 11:01
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
10月7日、プレミアリーグの「持てる者」に新顔が加わった。
3億ポンド(約460億円)強でニューカッスルを買収した『コンソーシアム』は、資産価値が3000億ポンド(約46兆円)を超えるとも言われるサウジアラビア王国のPIF(公的投資基金)を後ろ盾に持つ。イングランド北東部の古豪が手に入れた資金力は3トップにリオネル・メッシ、キリアン・ムバッペ、ネイマールが並ぶパリ・サンジェルマン以上。マンチェスター・シティの約14倍という規模だ。
「新時代の到来だ」とオーナー交代を歓迎
リーグによるオーナー適性審査が延々と長引いたことで、一度はコンソーシアムが手を引いてからほぼ1年半。2007年に英国人実業家マイク・アシュリーの所有クラブとなって以来、地元クラブにプレミア残留の期待しか抱けなくなっていたニューカッスルの街には、第7節終了時点で19位のクラブのホームタウンとは思えない高揚感が生まれている。
諦めかけた吉報を耳にした喜びは、北東部出身の元有名選手も同じ。ニューカッスルで英雄視される元ストライカーのアラン・シアラーが「Yesssssssss」とツイートすれば、マンチェスター・ユナイテッドの名MFとして名を馳せたブライアン・ロブソンも「新時代の到来だ」とオーナー交代を歓迎した。
シティも「金でタイトルを買った」とケチをつけられた
「世界一リッチなクラブ」という肩書きには、やっかみ半分の否定的な見方も伴う。
2003年にチェルシーがロシア人富豪の手にわたった当初、巷では「強豪としての歴史がないクラブはオーナーの資金力だけでは変わらない」と言われていた。2008年にアブダビ王族の資金力を得たシティも、チェルシーと同じく新オーナー下でのプレミア初優勝時に「金でタイトルを買った」とケチをつけられた。
今回のニューカッスル買収に関しては、人権侵害で批判を受ける国家が上辺を取り繕う「スポーツウォッシング」との意見が絶えない。
買収が決まると、BBCテレビのニュース番組ではアナウンサーが「これでいいのか?」とばかりにサポータークラブの代表者に迫った。『タイムズ』紙には、ニューカッスルの縦縞ユニフォームを鉄格子に見立てた風刺漫画……。確かに、サウジアラビアは国際人権NGOに人権侵害問題を指摘されるようになって久しい。