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夢破れた後に残っていた「山河」。
長友佑都が故郷で取り戻した“原点”。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2014/07/23 10:40
GL敗退が決まったコロンビア戦、両チームトップの11.3kmを走った長友はピッチに座り込んでしまった。インテルのチームメイト、グアリンは長友の健闘を称え、慰めた。
自分が支えられてきた「人々」がエネルギーをくれた。
原点に立ち戻るのは何も「場所」だけではない。家族と触れ合い、祖父母、恩師、そして友達……。自分が支えられてきた「人々」と心で触れ合うことで、エネルギッシュな自分を取り戻そうとしていたのかもしれない。
挫折なんて毎度のこと。そこで立ち止まってしまうのは、昔の自分ならあり得ないことだ。感謝の気持ちを抱きながら、逆境に立ち向かう姿勢をいつも心に置いてきた。
ある友達にこう言われたことが心に響いたという。
「お前はお前のまま、昔のままでいいんだ」と――。
曇っていたはずの視界は、いつの間にかモヤが晴れていた。
涙と失意、そして原点回帰。
今季で、インテルでは5シーズン目に入る。
「鉄は熱いうちに打て」ではないが、己の課題がはっきりと見えているこのときこそ、足りない部分を伸ばしていかなければならない。
「やらなきゃならないのは全部。自分のストロングポイントである走力もそうだし、アジリティーもそう。技術であったり、最後の精度の部分、判断の部分ももっと上げなきゃいけない。マッツァーリ監督からも攻撃のところですごく求められると思うので、セリエAのなかで伸ばしていけるんじゃないかと思ってます」
主将に決まったアンドレア・ラノッキアからは副キャプテンの指名を受けるなど、今季はリーダーとしての期待も高まっている。
涙と失意、そして原点回帰。
やるべきことも見え、向上心の塊に火がついた状態になっている。長友佑都は「逆襲」のスタートラインに立った。