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リリーフ“3年寿命説”から考える、
セ・パ各チームの「シーズン計画」。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/04/24 10:30
現在39歳、日本人最多セーブを更新し続けている中日・岩瀬仁紀。今季は4月20日時点で5試合登板1敗2セーブだが、開幕前のインフルエンザ罹患のことを考えれば、これからが本調子か。
西武、ロッテ、中日は後半戦に伸びてくる?
今年のパ・リーグは最下位の西武が3.10人と12球団でも断トツの少なさで、5位ロッテが2番目に少ない3.30人とまったく逆の結果が出ている。首位を走るソフトバンクにくらべて投手陣の層が薄いという見方もできるが、両チームがリリーフ投手の酷使を避けて中盤から後半戦を睨んで戦っているという見方もできる。西武、ロッテの監督が西武黄金時代を築いた伊原春樹、伊東勤なので、私はそう思っている。
セ・リーグはどうかというと、阪神だけが例外で、起用人数の少ないチームが順当に上位を占めている。ここで注目されるのは中日だ。
昨年はソフトバンクと32人差の通算648人という圧倒的ワースト1位だったが、今年はリーグ3位の少なさでリリーフ投手陣の疲弊を避けている。監督が捕手を兼任する谷繁元信、ヘッドコーチが元投手の森繁和というバッテリー出身ならではの投手に対する配慮で、現在の辛抱・我慢は後半になって生きてくるような気がする。
原監督は不調でも我慢強く長期戦の構え。
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巨人はリリーフ陣の顔ぶれが豪華なので起用人数は多そうに思えるが、広島に次ぐリーグ2番目の少なさだ。そして昨年、鉄壁を誇った山口鉄也、マシソン、西村健太朗のリリーフ陣の調子はどうかといえば、よくない。
西村健太朗 9試合、1勝1敗5セーブ、防御率4.82
山口鉄也 7試合、0勝1敗5HP(ホールドポイント)、防御率7.50
マシソン 12試合、2勝2敗2セーブ4HP、防御率9.00
4月13日の阪神戦は1-1のまま延長戦に突入、10回裏に登板した山口が1死後、俊介の二塁打から始まる波状攻撃を受け、2死満塁の場面で代打関本賢太郎にレフト前にタイムリーを打たれてサヨナラ負け。
4月15日は3-3で迎えた8回裏、イニング跨ぎをしたマシソンが2つの四球と飯原誉士の安打で満塁のピンチを迎え、畠山和洋に押し出しの四球を与えて降板。リリーフした香月良太も打ち込まれて大量5点を奪われた。
4月19日は2-2で延長戦に突入した11回表、4番手で登板した西村がルナ、平田良介に初球を左前、中前に運ばれ、1死二、三塁の場面で打席に立った和田一浩に2球目を左前に弾き返され1失点。代わった高木京介も打ち込まれて大量5点を失った。これだけ終盤の切り札が無残に打ち込まれれば投手の起用人数はもっと増えそうだが、原辰徳監督は無理をさせない。戦力面だけでなく、近年上位に居座り続ける巨人の強さの一端が垣間見える戦いぶりだ。