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戦術か、時間か、マネージメントか?
不調バルサ、マルティーノの“欠点”。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2014/03/14 16:40
リーガ27節バジャドリー戦も敗れ(0-1)、3位に転落したバルサ。4月16日に、マルティーノにとっての初タイトルの懸かる宿敵マドリーとの国王杯決勝を控える。
ほんの2カ月前まで順風満帆だったバルサのリーガ2連覇に、黄信号が灯った。
現在27節を終えた時点で、首位レアル・マドリーに4ポイント差の3位。
今月末に控えた直接対決を制しても、マドリーがどこかでつまずかない限り、優勝は不可能という状態である。
マルティーノ監督の下、プレイスタイルで物議をかもしながらもリーガ史上3チーム目となる「前半戦だけで50ポイント獲得」を成し遂げたスタートを考えると意外な展開だが、レフェリーの重大なミスジャッジや陰謀があったわけではなく、現在起こっていることの全てはバルサのせいだ。
後半戦これまでの8試合をマドリーが6勝2分けで終えたのに対し、バルサは4勝3敗1分けだから、ひどい失速ぶりである。
そしてこのタイミングで、マルティーノの来季の続投を疑問視するメディアが出てきた。現状に危機感を抱き、就任からの半年を顧みて、バルサの監督として彼は本当に適任なのか、あらためて検証すべきと提案しているのだ。
予想外の事態に対する戦術的対応力の欠如。
その波に乗ってバルサにおけるマルティーノの欠点を挙げるとなると、真っ先に思いつくのは戦術的対応力の弱さである。
事前に準備したプランが機能したとき、つまり試合の展開予想が当たったときは問題ない。が、敵の出方が読みどおりではなかったとき、マルティーノはしばしば打つ手に窮する。
最近では第25節のレアル・ソシエダ戦。マルティーノはソングをピボーテに、ブスケッツをいつものシャビの位置に置くという思い切ったフォーメーションで試合に臨んだ。
ところがソシエダは、彼が対戦相手に想定していたシステムを変えてきた。
ならば次の一手を打てばよいのだが、マルティーノは最後まで効果的な策を講じることができず、結局バルサは3-1で敗れた。試合後、彼は自分のミスを認め「読みどおりに展開しなかった」と反省している。