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<2014女子プロゴルフ展望> 新女王・森田理香子に立ちはだかるライバルたち。
text by
月橋文美Ayami Tsukihashi
photograph byToshiya Kondo
posted2014/03/13 11:30
横峯さくらと韓国勢は若き女王を脅かすことができるか。
新女王・森田を脅かすのは、いったい誰なのか。
真っ先に名前を挙げなければいけないのは、やはり横峯だろう。昨シーズンは9月以降に3勝を挙げて賞金ランクを駆け上がり、最終戦の前々週には森田を抜いて一時トップに立った。最終戦最終日のわずか1打、130万3411円差で、自身2度目の女王の座に就くことは叶わなかったが、長年上位を維持している信頼感は1番だ。昨年7月中旬まで3年3カ月かけて作った、連続予選通過101試合という大記録が、何よりその実力の証明。今季は前半戦からのダッシュも期待される。
だが、28歳で迎えたプロ11年目は、開幕戦の会場で「今年は米ツアー競技にも6試合ぐらい出て、日本と合わせて賞金1億円を目標にします」と宣言。海外メジャー参戦に重きを置き、国内賞金女王争いの「優先順位は低い」と言い切った。もちろん、国内での出場試合数を減らしても高額賞金大会をものにしていけば、後半戦の強さで女王候補となる展開も大いにあるが、ひとまずは後方待機の立場をとることになりそうだ。
となると、恐いのは韓国勢か。アン・ソンジュ、全美貞、イ・ボミの“日本ツアー韓流トップ3”に加え、今季は元世界ランク1位の申ジエが、日本ツアーをメインに戦うことを明言した。近年は虫垂炎手術に始まり、左手親指付け根を手術、背筋を痛めるなど体調面での悩みが続き「遠征がつらく、体の負担を減らしたいと考えた。日本は3日間大会が多いし、新幹線の移動も楽。お客さんも多いし、楽しい」という。今季は米ツアーの出場を極力減らし、日本ツアーにフル参戦の意向。当然賞金女王争いの一角となる活躍を見せるだろう。
森田の姉弟子、服部真夕はダークホースとなれるか。
昨年日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯を制したイは、日本と韓国の両ツアーで賞金女王という「初の偉業を自身の手で」と虎視眈々。
2010年、2011年女王のアンと、2012年女王の全も、その座の奪回を目指してシーズンオフを過ごしてきたはず。アンは一昨年から手首や足首の故障、逆流性食道炎などで苦しみ、全も昨シーズン後半はひそかに肘痛に悩まされていたとされ、いずれも体調面の不安克服がカギを握る。
さらに、ダークホースとして今年こそ女王争いに加わってほしいのは、森田と同門の服部真夕だ。
妹弟子・森田に先に行かれた格好にはなったが、ショットの威力、スタミナではまったくひけをとらない。昨シーズンは序盤から女王レーストップに立った森田と比較され、ストレスを抱えた状態での戦いが続いた結果、4年ぶりに優勝のない1年を経験した。
賞金ランクも、デビュー年以外では初めてベスト20から外れ、25位に。服部は「去年の森田理香子の活躍には十分刺激を受けたし、身近な存在が賞金女王になったことで、自分にもできるという気にもさせられた。今年はちょっと違う自分になって戦いたいと思っています」と語る。
例年通り2月上旬まで上野由岐子らを擁するソフトボールチームと合同自主トレを敢行、内転筋の強化などを図って開幕を迎えている。昨年の忸怩たる思いを、今季は森田との賞金女王争いで晴らしたい。同門の頂上決戦が実現すれば、ツアーも昨年以上に盛り上がるはずだ。昨シーズン苦しんだアプローチショットの復調度が、服部の浮沈を決めるポイントだ。