セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「戦車でも持ってくるしかないね」
止まらないユーベ、スクデット目前!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2014/03/05 10:50
26節では本田圭佑の所属するミランを2-0で一蹴したコンテ。CLではグループリーグで敗退したが、その屈辱の分までリーグで強さを存分に発揮している。
OB監督カペッロからの横槍に……。
だがベローナ戦後の休日没収は、思わぬ波紋も呼んだ。
現在はロシア代表を率いるOB監督のカペッロが「私の指揮したユーベでは、無意味な懲罰はやらなかった」とコンテの指導法を批判し、さらに現地紙のインタビュー上で、今シーズンの独走状態を指して「強力なライバルのいない今のセリエAで優勝するのは難しくない」と発言したのだ。
実はユベンティーノの中にも、「'05-'06年シーズンのチームこそクラブ史上最強」と考える人は多い。
カルチョ・スキャンダルの発覚によって最終的にスクデットを剥奪されたが、当時セリエAを蹂躙したユベントスの実力は本物だった。直後のドイツW杯で世界の頂点に立った5人のイタリア代表に加え、FWイブラヒモビッチやMFネドベド、DFテュラムにMFビエラといった当時の欧州トッププレーヤーが顔を揃えた強力無比のチーム。それを率いていたのが、優勝請負人カペッロだった。
自負のあるコンテは、カペッロに対し痛烈に反論。
しかし、名将リッピ(広州恒大)が作り上げた強固なベースを引継ぎ、さらに巨大補強も行なった大物監督の時代とちがい、コンテは文字通り何もないところから古巣を再建した。2年連続7位だったユーベをスクデット連覇に導き、昨季のCLでは優勝したバイエルンに抗ってみせたという自負もある。
嫌味を腹に据えかねたコンテは「カペッロのチームで思い出されるのは、プレーではなくタイトルを剥奪されたことだけ」「せいぜいW杯のグループリーグを突破できるよう、よそにちょっかいを入れるよりご自分のチームの心配をされた方がいい」などと痛烈に反論。クラブはタイトル剥奪を今も認めていないため、現指揮官の直情的な発言に慌てたクラブ上層部が介入し、サポーターも二分する騒動になった。
結局一連のやり取りの後、カルチョ界の大御所サッキが「私が知る限りのユベントスの中では、最も優れているのはコンテのチームだと思う。リッピ時代のチームよりもさらに調和がとれている」と今季のチームに軍配を上げたのだった。