プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ルーニー、新契約で週給5000万円!
それでも最後に笑うのはモイーズ?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2014/03/07 10:30
練習中に談笑するルーニー(左)とモイーズ。しかしCLベスト16第1レグではオリンピアコスに0-2で敗戦。来季のCL出場は厳しくなった。
プレミアリーグの選手年俸は、その桁数の多さから「天文学的数字」と表現されることがある。
英国の庶民にすれば、年収が4万ポンド(約690万円)を超えれば「稼いでいる」部類だが、同レベルの収入を1週間で稼いでしまうのが、プレミアの1軍選手たちなのだ。しかし去る2月21日、ウェイン・ルーニーがマンチェスター・ユナイテッドと結んだ新契約は、そのプレミアの世界でも破格だった。5年半で7000万ポンド(120億円強)という契約規模には、世間で「馬鹿げている」との声が上がった。
ルーニーの稼ぎは週給にして実に30万ポンド(約5150万円)。プレミア選手の間で「通勤の足」として人気のレンジローバー・スポーツ(市価5万ポンド≒850万円)を、2日に1度の割合で新車に買い換えてもお釣りがくる。
現実離れしたルーニーの待遇改善に呆れ顔の庶民たちは、「週給100万ポンド選手の出現も時間の問題だ」と言い始めた。
前回契約延長時も、当時のプレミア最高額だった。
プレミアで週給20万ポンドの壁が破られたのは、ヤヤ・トゥーレがマンチェスター・シティに移籍した2010年。それから4年で、ルーニーが初の「週給30万ポンド選手」になったのだから、100万ポンド台到達もあり得ない話ではない。
ルーニーの給与は、2010年秋の前回契約延長の時点で既にプレミア最高額に達していた。クラブの補強不足に不満を示し、積極補強を繰り返すマンCへの移籍を仄めかしたルーニーを、マンUは週給25万ポンドの待遇で引き留めたのだった。
今回の更なる昇給も、デイビッド・モイーズ体制1年目のマンUが、予想以上の苦戦を強いられている最中の出来事だ。昨夏の段階では、前監督のサー・アレックス・ファーガソンとの確執から移籍を望んだルーニーに対し、クラブ側は放出を拒む一方で新契約提示を急いてはいなかった。今回は、リーグ王座防衛どころか、トップ4入りも難しくなる中で契約延長が成立。またしても、ルーニーがクラブの弱みにつけ込んだと理解されても仕方はない。