セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「戦車でも持ってくるしかないね」
止まらないユーベ、スクデット目前!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2014/03/05 10:50
26節では本田圭佑の所属するミランを2-0で一蹴したコンテ。CLではグループリーグで敗退したが、その屈辱の分までリーグで強さを存分に発揮している。
セリエ最強のテベス&ジョレンテの凸凹コンビ。
確かに、現在のセリエAで最も“調和が取れている”2トップといえば、FWテベスとFWジョレンテの凸凹コンビ以外にありえない。
母国スペイン以外のクラブで初めてプレーするジョレンテは、シーズン序盤にフィジカルコンディションの回復に手間取り、一時はサッカーをやめることも考えたほど順応に苦しんだ。だがコンテの指導で自信を回復し、FWブチニッチの負傷でチャンスを得ると尻上がりに調子を上げ、ナポリ戦やCLでのレアル戦といった重要なカードで次々にゴールを決めた。スペイン代表としてブラジルW杯へ出る目標のためにも、今のペースは落とせない。
10番を背負うFWテベスは、ミラン戦で15得点目を挙げ、ついに得点ランクのトップに立った。25節のダービーでも決勝点を決めており、勝負強さはずば抜けている。
「背中に背負っているのは10番だが、それが32番であっても何番であっても、俺がピッチに全力をぶつけることには変わりねえよ。得点王なんてどうでもいいんだ。俺が欲しいのはスクデットなんだよ」
誰より走り、誰より汗をかき、誰よりゴールを決めるテベスは、誰よりも試合を楽しんでいる。苦い結果の後でも、チームの顔という責任から逃げない。ミックスゾーンで話すスペイン語訛りのきついイタリア語がたどたどしくても、野生児FWはユベンティーノたちの心をすでにガッチリとつかんでいるのだ。
「ベイルが1億ユーロなら、ポグバは2億ユーロだ」
新加入の2人に加え、中盤では20歳のMFポグバがいよいよトッププレーヤーへと成長しつつある。2年前にマンチェスターUが見限った無名のティーンエイジャーの市場価値は、昨冬の市場でPSGが7千万ユーロをつけるほどに急騰した。お抱えの選手を絵画に喩える代理人ライオラは「ポールは(印象派画家の)モネの作品に匹敵する。ベイルが1億ユーロなら、ポグバは2億ユーロだ」と豪語して憚らない。
選手もクラブも取り巻きも、目指すは頂点だ。野心は大きい。