ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
日本人選手の言葉で振り返る2013年。
ブンデスで前に進む者、苦しむ者。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2014/01/16 10:40
長いウィンターブレイクも終わり、まもなく後半戦が始まる。内田篤人のシャルケはCLベスト16でレアル・マドリーと対戦。バロンドール獲得で勢いに乗るロナウドを、対峙する内田は止められるか。
乾貴士「やっぱり、ハジくんが32試合出ているでしょう」
2013年、5月9日。'12-'13シーズンも残り2試合となっていたこの時点で、フランクフルトの乾貴士は出場停止の1試合をのぞく31試合に出場していた。かつてハンブルガーSV、フランクフルトでプレーした高原直泰とドルトムントで活躍した香川真司。
この2人が最も多くの試合に出場したシーズンでも、1年で31試合の出場にとどまっていた。その2人の記録に並んだのは大きな意味があるのではないか、と乾にたずねると、すぐにこんな答えが返ってきた。
「ハジくんが、いるんじゃない?」
ハジくんとは、現在はヘルタ・ベルリンでプレーする細貝萌のこと。彼がアウクスブルクでプレーしていた2011-'12シーズンに、31試合以上出ているだろう、という指摘だった。
細貝は件のシーズンでは、34試合中32試合に出場していた。その事実を告げると、乾はこう答えた。
「やっぱり、ハジくんが32試合出ているでしょう」
出場試合数を気にする本音を垣間見せた乾。
自分の出場試合数がどれくらいの意味を持つのか。気にしていないようで、密かに気にしている。そんな乾の本音が垣間見られた瞬間だった。結局、このシーズンの乾はブンデスリーガの34試合中で33試合に出場した。しかも、すべての試合に先発している。これは現役の日本選手としては最多の数字だ。それほどまでに、フランクフルトで重要な役割を担っていたのだ。
ただ、今シーズンは前半戦の17試合を終えて、11試合の出場にとどまっている。そのうちスターティングメンバーに名を連ねたのは8試合。昨シーズンから大きく成績を落としているチーム同様に、乾もまた思うように出場機会を伸ばせないでいる。シーズンの残り17試合、どこまで巻き返せるのだろうか。