ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
日本人選手の言葉で振り返る2013年。
ブンデスで前に進む者、苦しむ者。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2014/01/16 10:40
長いウィンターブレイクも終わり、まもなく後半戦が始まる。内田篤人のシャルケはCLベスト16でレアル・マドリーと対戦。バロンドール獲得で勢いに乗るロナウドを、対峙する内田は止められるか。
清武弘嗣「俺は、PKを蹴りたかったので……」
'13-'14シーズンのブンデスリーガが開幕する1週間前のこと。ドイツカップの1回戦が行なわれた。8月4日にザントハウゼンとのアウェーゲームに臨んだニュルンベルクは1-1のまま迎えたPK戦で、2部リーグ所属の格下のチームに敗れてしまった。
この試合のPK戦では、チームの1人目のキッカーとして清武が真っ先に出ていった。このシーンについて清武はこう答えている。
「俺は、PKを蹴りたかったので、『俺が一番に蹴る』って言いました。ああいうのは自分で蹴りに行った方がいい。そうじゃないと……。向こうのチームはトントーンって蹴って、決めて、気合も入ってましたよね。PKというのは、最後は気持ちの勝負やと思うし。僕らは気持ちで負けたんじゃないですかね。自分から蹴りにいくっていう選手が多くいないとダメだと思う」
自身のことをプレースキッカーではない、と話している清武。そのため、セットプレーから多くのゴールをアシストしたことで評価されたときには複雑な表情を浮かべてもいた。それでも、PKのキッカーとして一番に名乗り出た。普段はそれほど目立たない清武の気持ちの強さが垣間見られた試合だった。
内田篤人「そういうのも大事なんだなと思うようになった」
'13-'14シーズンが開幕してから1カ月と少したった9月20日のこと。シャルケの練習場で、そのあとのハードなスケジュールについて質問を受けた内田篤人は、こんな風に話し出した。
「CLだけじゃなくて、これからは代表戦も入ってくるからね。『全部の試合に出ようとするな』と以前、俺は言われたことがあるんだけど、そう言われた意味がやっとわかったというか……。そうだよなぁ、と思った。(怪我や出場停止などではなく、ローテーションなどの理由で試合に出ないことは)あまり好きじゃないけど、そういうのも大事なんだなと思うようになってきた。大事な試合で100%の力を出せるならね」
その言葉通り、内田は今シーズンのシャルケで、CLのプレーオフからグループステージまでの8試合のすべてにフルタイム出場を果たした、ただ一人の選手となった。バイエルンとのチーム力の差が明らかである以上、今シーズンのシャルケにとっての最大の目標はCLで昨シーズン以上(ベスト16以上)の結果を残すことだ。
チームにとって大事なことを見極め、そこに向かって全力を尽くす内田の姿勢が、このときのコメントにつまっていた。