ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
日本人選手の言葉で振り返る2013年。
ブンデスで前に進む者、苦しむ者。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2014/01/16 10:40
長いウィンターブレイクも終わり、まもなく後半戦が始まる。内田篤人のシャルケはCLベスト16でレアル・マドリーと対戦。バロンドール獲得で勢いに乗るロナウドを、対峙する内田は止められるか。
酒井高徳「あのときに考えていた状況よりは……」
ブラジルW杯の組み合わせ抽選を控えた11月22日のこと。前回の南アフリカW杯の際にはサポートメンバーとして日本代表に帯同していた酒井高徳は、当時と現在の状況を比較して、こう話していた。
「当時は、今の自分がここ(シュツットガルト)でプレーしてるとは全く予想してなかった。あのときに考えていた状況よりは、順調に来てるのかなと思います。4年後に自分がW杯のメンバーに食い込める位置にいるとは想像してなかったですから」
ただ、同時に日本代表のレギュラーのサイドバックになるために求められるレベルもまた、変わってきた。日本代表のサイドバックのスタメンに名を連ねるためには、UEFAクラブランキングで12位のシャルケと同13位のインテル・ミラノのレギュラーをしのぐ実力を求められている。
酒井は、こうつけ加えた。
「あの2人だけじゃなくて、(ハノーファーの酒井)宏樹もいる。自分はなんとかメンバーに残れてるけど、日本のリーグにも良いサイドバックはいっぱいいる。日本のサイドバックだけではなく、全ポジションがワールドスタンダードに近づいてきてるのかなということは感じますよね」
日本サッカーのレベルがあがってきていることは、代表でのポジション争い一つをとっても明らかなのだ。だからこそブラジルW杯では大きな期待を集めるし、同時にレベルが上がったからこそ求められる成績も上位になる。そんなことを気づかせてくれたのが、酒井の何気ないコメントだった。
岡崎慎司「やっぱり『欲』がでますよね」
2013年最後の試合を直前に控えた12月19日、マインツの練習場で岡崎慎司はいつも通りに汗を流していた。チームの練習のあと、Jリーグでもプレーした経験のあるパク・チュホとの居残り練習を終えると、岡崎は好調を維持している状況での自身の心理状況についてこう話していた。
「もっと、自分を見て欲しいなと思います。チュホと同じくらいに、みんなが自分の裏に抜ける動きを見てくれればもっとチャンスがあるなぁと。今までは、最低限こうして欲しいということくらいしか言わなかった。今も悪くはないけど、もっと自分を見てくれたらなと思いますよね。オラオラ系じゃないけど(笑)、チームがもっと良い形になればもっと自分にもチャンスが来るなという感じ。やっぱり『欲』がでますよね」
岡崎の状態がよくなっていることは、すでにこのコラムでも触れてきたが、ストライカーとしての『欲』が、活躍の後押しをしていたのだ。
この話をした2日後、岡崎はどん欲なまでにゴールを狙い、2ゴール、1アシストの活躍を見せた。『キッカー』誌による週間MVPにも選ばれ、岡崎の名前はドイツ全土に知れ渡った。
現在ブンデスリーガの1部でプレーする8人の選手が置かれた状況は様々だ。1年前よりも苦しい状況に立たされている選手もいれば、確実に前に進んでいる選手もいる。
ワールドカップまで、あと半年ほど。その中で、彼らはどんな変化を見せてくれるのだろうか。