ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
日本人選手の言葉で振り返る2013年。
ブンデスで前に進む者、苦しむ者。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2014/01/16 10:40
長いウィンターブレイクも終わり、まもなく後半戦が始まる。内田篤人のシャルケはCLベスト16でレアル・マドリーと対戦。バロンドール獲得で勢いに乗るロナウドを、対峙する内田は止められるか。
中心選手となり、移籍選手の最高評価を得る細貝。
今シーズンの細貝はここまで、その言葉通りの活躍を見せている。
日本人選手としてはただ一人、'13-'14シーズン前半戦の全ての試合に先発出場。『キッカー』誌では今シーズンから移籍した選手の中で最高の評価(10点)を獲得し、本職のボランチだけではなく、センターバックとしてもプレーしてきた。さらに、ルフカイ監督は毎試合のように細貝の名前をあげて、ほめたたえる。前半戦最後の試合ではドルトムントをアウェーで下すなど、1部にあがってきたばかりのヘルタだが、シーズンを6位で折り返してみせた。
細貝はチームの心臓となるポジションで周りの選手に指示を送り、リーダーのようにふるまっている。守備でも相手のシュートをブロックしようとひるむことなく頭から飛び込んでいく。
実際にスタジアムで試合を見れば、彼がヘルタの紛れもない中心選手であることは、一目でわかるはずだ。
サッカー選手として当たり前のプレーを。
チームの順位も含めて考えれば、'13-'14シーズン前半戦で、ブンデスリーガの舞台で最も存在感を発揮した日本人選手に細貝を挙げたとしても異論は少ないだろう。
にもかかわらず、2013年の細貝の日本代表での立場は、前年よりも後退したという見方が一般的だ。それまでは遠藤保仁と長谷部に次ぐ3番手と見られていたが、今では山口螢のあとの4番手と見るメディアがほとんどだ。
細貝はそんな評価など、意に介さずに、現時点でのモチベーションのよりどころについてこう話している。
「(ヘルタ・ベルリンという)チームの人たちに認めてもらうことであり、ベルリンのサポーターから認めてもらうです」
所属クラブでの活躍が、代表につながる。だがそれは現時点での細貝にはあてはまっていない。その努力や結果が実を結ぶのが半年先なのか、1年以上先のことなのかわからない。それでも、所属クラブのために全力をつくす。サッカー選手として当たり前のプレーを続けている細貝。そこにはどんな未来が待っているのだろうか。