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首位を争う直接対決で横浜に完敗。
浦和が残した「夏休みの宿題」とは。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO
posted2013/08/30 10:32
対策を練られるのは、存在感を放っていることの裏返しでもある。各クラブの情報は行きわたり、地力が問われる終盤戦を浦和はどう戦うのか。
「夏休みの宿題!! 8/31集めて埼スタに4万人」
クラブ史上初となる3点差をひっくり返す逆転劇を演じた、8月17日のリーグ第21節・大分戦後のこと。浦和レッズの選手たちはメッセージ入りのTシャツを着用し、第24節の新潟戦への来場を呼びかけた。
昨季加入した槙野智章の発案で、ホーム・埼玉スタジアム2002での勝利後に選手たちがメッセージ入りのTシャツを着用して、勝利の凱歌「We are Diamonds」をファンと一緒に歌う光景はチームの恒例行事となっている。この大分戦では多くの家族連れが観戦し、また次のホームでの試合が8月31日ということにちなんで「夏休みの宿題」というフレーズを使用したのだ。
そんな浦和だが、この夏場の戦いではピッチ内で「宿題」を相手クラブに突きつけられている。
「攻撃的なサッカーを展開していきたい」
ミハイロ・ペトロビッチ監督が常々口にするように、後方からの丁寧なビルドアップを土台とした浦和のポゼッションサッカーは他クラブとは一線を画す存在感を発揮し、リーグ第23節終了時で3位とリーグ優勝を狙える位置につけている。
対策を練られ、失点が激増中。
しかし異彩を放てば放つほど、他クラブからの警戒は強まる。
その相手クラブの警戒心が数字として表れているのが、浦和の失点数である。
W杯アジア最終予選とコンフェデレーションズカップによるリーグ戦中断前、5月29日の時点で13試合を戦って14失点と、浦和の失点はリーグで5番目に少なかった。しかし7、8月に行われた10試合では19失点と、1試合平均で約2失点を喫している。
体力的に厳しい戦いとなる夏場の失点増加はJリーグ全体に見える傾向だが、横浜F・マリノス、サンフレッチェ広島、セレッソ大阪といった他の上位クラブは失点数を10~11点に抑えているのを踏まえると、見過ごせない部分である。
そんな浦和にとって高い授業料を払うこととなったのは7月17日、そして8月28日に行われた横浜FMとの戦いだった。