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松田直樹はなぜ、
愛され続けるのか。
~著者・二宮寿朗が語る「闘争人」~ 

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posted2013/09/18 06:00

松田直樹はなぜ、愛され続けるのか。~著者・二宮寿朗が語る「闘争人」~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『闘争人 松田直樹物語』(右) 『松田直樹を忘れない。~闘争人II 永遠の章~』(左) 二宮寿朗著 三栄書房 1524円+税(2冊とも)

――――『闘争人 松田直樹物語』から4年。“闘争人II 永遠の章”として『松田直樹を忘れない。』を上梓されました。松田選手が亡くなってから2年が経過したわけですが、二宮さんとしても、まさかこのような形で2冊目を刊行されるとは想像していなかったのではないでしょうか。

「僕の中では『闘争人』で松田選手のサッカーへの情熱や日本代表復帰への想いを、一度描き切ったと感じていたので、正直なところ2冊目という発想は頭の中にありませんでした。ただ、松田選手が亡くなって一周忌を過ぎた頃、編集者の方からお話をいただいて。ここは自分の出る幕じゃないのではないかと、悩んだのですが、やはり“松田直樹を残したい”という気持ちが芽生えてきて、もう一度彼の人生を辿ってみようと思いました」

――――本書には横浜F・マリノスから戦力外通告を受け、当時JFL所属の松本山雅に移籍し、過酷な環境の中でJ2昇格を目指す松田選手の姿が克明に描かれています。まるで、二宮さんがいつも側にいたかのように。

「松田選手には選手としてだけでなく、人間的な魅力を感じていたので『闘争人』の後も定点観測はしてきていました。でも彼が本当に何を考えていたかを知るには、あらゆる角度から証言を統合しなければならない。マリノスの元チームメイトで親友だった安永聡太郎さん、佐藤由紀彦選手(現V・ファーレン長崎)をはじめ、約20人の方々に取材をしました。驚いたのは、すべての方が、松田選手との会話や状況、エピソードを鮮明に覚えていたことです。僕が書いたというよりは、彼らに“書かされた”という表現の方がしっくりくるかもしれません」

松田直樹が倒れた“あの日”を綴る葛藤を乗り越えて。

――――特に心を打たれるのは、'11年8月2日の“1日”を描いた第4章「別れ」です。松田選手が練習に向かう場面から、ランニング中に倒れた時刻、救急車で搬送されるまでが再現されています。

「このシーンは書くべきか、書かざるべきか相当考えました。今回の執筆作業はこれまでに経験したことがないほど、僕の中でも重い作業でした。1行1行が生々しく、松田直樹と対峙しているようで、何度も筆が止まりそうになりました。中でも彼が死に直面する過程を描くのは本当に辛かった。でも、何気ない日常から、突然こんなことが起こり得るのだということを多くの人に知ってもらうためには必要だと思ったんです。練習場に向かうまでの車中での様子は、北村隆二選手(FC岐阜SECOND)に記憶の糸を辿ってもらいました。ランニング中の出来事はすべて、松本山雅のスタッフが書き留めていたので、そのメモを見せていただきました」

【次ページ】 松本山雅時代の肉声を聞き直し、気づいた苦悩。

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